小泉首相・中央アジア歴訪、資源外交軸に協力関係強化

2006/09/01 更新: 2006/09/01

【大紀元日本9月1日】カザフスタンウズベキスタンを訪れた小泉首相中央アジア訪問は、エネルギー資源外交を軸に、政治や民主化などの問題においても協力関係の礎を築き上げた。アナリストからは、冷え込む中ロ関係を背景に、時期的にも意味深いものであるとみている。

中央アジア諸国との協力体制を強化

小泉首相は4日間にわたる中央アジア訪問で、初日の8月28日に最初の訪問国カザフスタンに到着し、翌日ウズベキスタンを訪れた。日本の首相が中央アジア地域を訪問するのは、小泉首相が初めて。今回の訪問は、エネルギー、政治および経済分野における協力関係を強化するほか、日本側は、国連安保理常任理事国入りについて、中央アジア諸国の支持を求めるとみられる。

小泉首相を迎えたカザフスタンのナザルバエフ大統領は、首相の訪問は歴史的なものであるとし、両国の戦略パートナーシップにおいては一大イベントであると強調した。ナザルバエフ大統領は、日本が中央アジアでの外交活動の発展および投資を歓迎する意を示した。小泉首相は、カザフスタンが中国、ロシア、米国およびEU連合との関係を良好に保ち、国家としての発展の速さに強い印象を持ったと評価した。

小泉首相はカザフスタンの訪問で、核エネルギー利用の共同開発、カザフスタンのウラン鉱物資源の共同開発を含む協定が調印された。日本は米国、フランスに次いで、世界第3位の核エネルギー生産国であり、毎年核エネルギーによる電気生産量で、少なくても8000トンの金属ウランが消耗されている。それゆえ、金属ウラン埋蔵量が世界の3分の1を占めるカザフスタンとの協定は、両国にとって将来性があると両首脳の見解が示された。

小泉首相はウズベキスタンを訪問した際、エネルギー問題のほか、同国の人権および民主問題にも言及した。ウズベキスタンでは昨年、東部アンディジャンで発生した反政府暴動で発砲し、数百人の市民が犠牲となったことなどで、国際社会から同国の人権問題が非難され続けてきた。小泉首相はウズベキスタンおよびカザフスタンの民主化の推進、経済および社会発展の支援を協力する意向を示した。

小泉首相は今回の中央アジア訪問において、日本のエネルギーは中東地方に依存しすぎており、石油および天然ガスの供給源は多様化すべきだと率直に意見を述べた。

中央アジアの資源をねらう中ロ

ロシア科学院欧州研究所副所長カラカノフ氏によれば、中央アジア地域は地理的に重要な位置にあり、また、資源が豊富であることから、中ロのような大国が同地域における影響力を拡大しようとしてきた。そのことが同地域に不安定な情勢を作った原因であるとみており、各国の勢力拡大には、先ずこの地域の安定化が肝要であるとの見方を示した。

カラカノフ氏は、日本が中央アジア諸国との関係を築く場合、さまざまな国情から政治交流が複雑化すると分析した。一方、ロシアのインターネットメディアの分析によると、中央アジア諸国が中国やロシアの優越感および傲慢な態度に不満を抱いていることから、日本の関与は歓迎されるとの見方を示した。

意味深い小泉首相の中央アジア訪問

中国とは靖国問題で政治交流が停滞し、ロシアとは北方領土問題の海域で日本漁船が拿捕され、日本人漁民一人が射殺された事件で、日ロ関係が低調となっていることから、アナリストは、近隣諸国との関係が外交上膠着状態に陥った時期に、その周辺国である中央アジア諸国を訪問したことは意味深いことであるとみている。

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