EU、対中国新貿易政策を公表、中国の経済改革・市場開放強調

2006/10/27 更新: 2006/10/27

【大紀元日本10月27日】欧州連合EU)執行委員会は10月24日、過去十年間中欧貿易の発展状況を纏め、新しい対中国貿易政策を打ち出し、この先十年間における貿易戦略を定めた。新政策は、双方が協力関係を強化する上、中国側は経済改革・市場開放を推進すべきと強調、さもなければ、EUは貿易保護主義を増強させると明言した。

国際メディアの報道によると、この数十ページにも及ぶ新政策は、知的所有権や、市場の参入、会計制度、政府補助、金融体制、人民元の為替レート率および政府の仕入れなど、中欧貿易の各敏感的な領域を言及している。新政策の制定は、中国とEUの経済関係が積極かつ迅速に発展する側面を物語っている一方、中国側に更なる措置を講じることを求め、EU諸国が抱えている中国貿易による脅威への憂慮を解消することを要求している。

貿易パートナー関係の強化

現在、EUは中国の第一貿易相手国で、中国はEUの第二貿易相手国である。EUは、中国の更なる開放や、多元化的発展、法治の実現、社会の繁栄への橋渡しを優先に支持すると表明、中国とエネルギー問題や、自然環境の変化などの国際重要議題に協力し、経済貿易関係の強化に努めると示した。また、EU執行委員会は、中国と科学技術の分野や、東アジアとその他の地区の安全問題などの議題についても、協力関係を強化する姿勢を強調した。

対外事務を主管するEU執行委員会の委員フィルイラ・ワドナ氏は、EUが直面している経済成長や、環境変化および国際安全などの課題を解決するために、EUは中国と「活力がある関係」を構築することが必要だと述べ、近く中国を訪問する際に、EUと中国が新しい協議を締結するための交渉を正式に展開すると宣言した。

また、ワドナ氏は、もしその交渉が有効的な結果を得られなければ、EUは世界貿易機構(WTO)の介入を要請すると警告した。

深刻な貿易不均衡

フィルイラ・ワドナ氏は24日、フランスのストラスブールで開催している欧州議会の大会期間中に、EU執行委員会のこの新政策について説明を行った。貿易政策を主管するEU執行委員会の委員マンドソン氏も同時に、将来のEUの発展や、対中貿易および投資関係の新政策を説明した。

マンドソン氏は今年7月、EUの企業が円滑に中国の市場進出できないと不満を漏らし、「EUの企業が直面している中国の市場は一面の壁であり、開かれた扉ではない」と発言した。

マンドソン氏は発言の中で、EUは中国の輸出製品に、開放かつ公平な市場を提供する予定だが、中国側も一層経済改革と市場開放に取り組み、外国企業への法律保護をも改善すべきと条件を突きつけ、そうでなければ「米国式の貿易保護主義もEU諸国の間で日々強化される」と警告した。

現在、中欧の貿易不均衡は日々深刻となっている。EUの統計資料によると、2005年度、EU対中国貿易の赤字は1068億ユーロを超え、今年7月までにその数字はすでに673億ユーロに達し、去年の同期と比べ18%も増加した。

対中国の貿易政策は大きく変わることはない

英国時事評論家・邱翔鍾氏は米国VOAの取材を受ける際に、EUの対中国貿易政策の方向は大きく変わることはないと指摘、「EUの20数カ国の加盟国の間では、意見が分かれており、政策も統一されていない。しかし、一部の原則的な問題において、加盟国の意見が一致している。例えば、中国に対する更なる市場の開放の要求や、中国当局による経済干渉の軽減などの問題。EUは今、中国は自由市場化の国と認めていない、政府による干渉が強いからだ。一部の具体的な問題において、EUは中国当局に圧力をかけることで、加盟国の分断を軽減することを願っている」と分析した。

(記者・文華)
関連特集: