【大紀元日本11月3日】10月16日、日本戦略研究フォーラム主催により、グランドヒル市ヶ谷において「恐るべき中国の臓器移植の実態」についての報告会がもたれました。報告者はデービッド・キルガー氏(元カナダ国会議員、アジア大洋州担当大臣)とデーヴィッド・マタス氏(カナダの弁護士、国際人権と民主発展センター所長)のお二人で、会場には概ね200名程度の聴衆がつめかけました。聴衆の中には、ジャーナリストの桜井よしこ氏、元経済産業大臣・現日華議員懇談会会長の平沼赳夫氏などもおられました。
中国には法輪功という気功の一種があり、その学習者が何故かしきりに逮捕され、どうやら逮捕された人達の臓器が「新鮮で活着の良い」高級品(?)として中国の臓器移植市場に出回っているらしいということを知ってから一年弱が経過しました。当初はまことに信じがたい不思議な話で、まさかまさか!という気持ちから聞き流していました。
私の学生時代には、学生は大なり小なり左傾化しており、エドガー・スノー「中国の赤い星」、アグネス・スメドレー「中国の歌声」などを読み、毛沢東や共産主義中国にあこがれておりました。その後私は農学者としての研究業務に熱中し、農学研究の分野では中国の研究発表には幼稚な嘘が多く、子供が乗っても倒伏しない稲の写真や、人の背丈よりも高い稲の写真を平気で合成するあつかましさに馬鹿馬鹿しさを感じるようになりました。
特に最近は、何清漣「中国・現代化の落とし穴」「中国の嘘」、陳桂棣・春桃「中国農民調査」、イアン・ジョンソン「ワイルドグラス」、ユン・チアン&ジョン・ハリデイ「マオ」などを読み、中国に対する評価は不信感をとおりこして嫌悪感にかわってきたところでした。
今回の報告会の目的は、中国では中国政府のお墨付き、ないしは暗黙の許諾により、逮捕された多数の法輪功信者は移植用臓器の生簀として収容されており、必要に応じて新鮮な適合臓器の供給源となっているという噂につき、カナダの報告者が数ヶ月にわたりその真偽を調査した結果を日本人にも知ってもらいたく、来日したということです。まさに現代の怪談であり、信じがたい話ですので、私がこれまで収拾してきた関連情報を、今回の報告会での内容を含めてここに取りまとめました。皆様の注意を喚起しておきたいと思います。後述しますが、この件については、世界各国の政治家達が人権擁護の観点から中国政府に改善を求めています。しかし、日本政府と日本のメディアはこの件につき沈黙を守っていることが不可解であり、一日も早くこのような蛮行を阻止するように働きかけて欲しいと思います。
1.法輪功とは
「法輪功」とは、いったい何か。一口で言えば、中国の「オウム真理教」です。その教祖は現在アメリカにいる李洪志という人物です。「法輪功」も「オウム真理教」も他のカルト集団と同様ですが、教義や教祖への絶対服従と絶対崇拝を要求し、信者にマインドコントロールを施すのです。
「法輪功」の教祖である李洪志はまず「善良」を看板にして、「心を修練し、体を鍛える」、長期にわたって「法輪功」を修練すれば、「薬なしで病気を癒し、健康になる」などと口説いて入門させます。続いて彼の書いた「経書」を読ませ、さらに、「地球は爆発する」など「世界の終末説」をばら撒き、教祖のみが世界を救い、「人を済度して天国に行かせる」と唱え、信者たちを恐怖のどん底に陥れて狂乱させます。その結果、信者は教祖に絶対服従するようになり、善悪の判断能力を失い、己を害し、他人を害するなど、極端な行動に走ってしまいます。
中国政府のこれまでの統計によりますと、「法輪功」の狂信者の中に、自殺或いは投薬や治療を拒否して死亡した者はすでに1600人を超え、精神に障害をきたした者は650余人に達したのです。また、殺人を犯した者は11人で、障害者となった者は144人にのぼります。
みなさん驚いたでしょう!イタリックの記載は、在日中国大使館の公式サイトに掲載された法輪功の説明です。オウム真理教なみのカルト集団ならば、政府により弾圧されて当然だと思いますが、この説明はどうやら100%の嘘のようです。明らかな嘘を政府公式サイトにどうどうと掲載することは、カルトに劣らず恐ろしいのです。
この文章が全くの嘘であることは、日本人や中国人の私の友達で、法輪功を実践している人達は、みなさん人格は極めて円満で全く暴力的ではありません。また、教祖の李洪志氏の著作「転法輪」を読むと、この気功グループは「真」「善」「忍」を求めて個人個人の自由意志から 修(心をきたえる)煉(体をきたえる)するもので、政治的目的意識はもたず、暴力を否定し、全ての活動はボランティアによるため、営利活動でもないことが明らかです。(ただし、著作「転法輪」は、宇宙論にはじまり、歴史観をのべ、哲学を解説していますが、私には理解できない部分が多く有ります)。
それでは何故中国政府はこの集団を目の敵にして弾圧するのでしょうか?中国当局の対外的説明ではカルト的な性格を持つ危険な集団であるためとしていますが、これが事実でないとすると、一体何故迫害するのでしょうか?物の本ではいくつかの推定が紹介されています。例えば;
①キリスト教教義に支えられた太平天国の乱など、中国では歴史上宗教活動により政権がくつがえされた例が少なくないため、共産党には宗教団体にたいする恐怖心がある。
②共産党員5000万にたいし、法輪功信奉者7000万と、自分たちを数の上でしのぐ団体に対する恐怖心がある。
③共産党という大義名分がなくなり、国民の結束をうながす集中力がなくなった。このため、内部に仮想敵群をでっちあげて、結束力を高める必要性に迫られている。
④かつて、高級幹部が住む中南海宿舎を数万の法輪功デモ隊が静かに包囲し、幹部は大層肝を冷やした経験があり、このグループに特別な恐怖心を抱くようになった。
これらは全て自らの自信のなさを示している。
法輪功迫害は1999年7月22日、法輪功非合法化が明文化されて拍車がかかる。このグループの逮捕・迫害を目的とした610オフィスという名前の特務機関も多数開設された。中国政府はいくつかの面で、極めて陰湿な性格を持つ。理不尽な政策を徹底して実行しようとする場合、実行に要する権限と実行されなかった場合の罰則を、地域の末端組織に丸投げする。末端組織はこのような締め付けにより、心を鬼にして上意をみたし、自らが上位機関からの罰則を受けることのないように努力する。国レベルの司法機能は全く働かず、下位の国民一般が受ける罰則は地域の権力機関により恣意的に決められる。まさに毛沢東の哲学(?):「どんな手を使おうと、やりすぎということはない」を実践することになる。1999~2006の7年間に拷問で死亡した法輪功信者は2,935人にのぼり、精神病院に強制入院させられた者:数千人、強制収容所には常時10万人以上が収容されているとのことです。話がここまでなら、7,000万人の自国民を殺した毛沢東の例もあり、「恐ろしいことだが中国ならありうることだ」で終わるかもしれない。
我々を震撼させるのは、強制収容された人々は近年中国で急増している臓器移植の臓器の供給源となっているらしいということです。カナダの調査団の調査報告書はこのことが真実であり、人権擁護の観点から世界の人々はこのことについて中国政府に抗議すべきであるという結論に達したとのことでした。
カナダ調査団の報告はかなり説得力のあるものでした。報告の内容そのものに説得力があるとともに、報告者が法輪功の信者ではない(つまり、手前味噌の報告ではない)ばかりか、調査が報告者のボランティア活動として行われていることが説得力を一層高めています。かれらはこの件を調査するため中国旅行のビザを要求したが断られた。やむを得ず中国で臓器移植を行う病院へ、移植希望患者をよそおって電話し、患者の注文に応じて健康体からの新鮮な臓器をすばやく提供することが可能であるという電話回答を得た。(臓器移植の常識では、臓器のレセプターの血液型や体質に適合するドナーをうるには数年待たなければならないのが一般であるらしい)。臓器提供を強制され拘束されている法輪功信者からの証言がえられれば最強の証拠になるが、臓器提供ずみの法輪功信者はもれなく殺害されて埋葬されること、この闇システムにつながる人々は多大な利益を得ており、秘密を暴露することにより自らの命が危険にさらされることなどから、予想通り証拠集めは困難をきわめたらしい。
個別の事項は単独では証拠能力はそれほど高くはないが、この手の事項が多数集まり、有機的に結合すると、いわば網の目を構成し証拠能力は高まる。それらは例えば、
1.法輪功への弾圧が強化し、逮捕者が急増し始めた2000年から、臓器移植件数も急増しはじめている。
2.臓器移植を担当する中心的な医療機関である瀋陽臓器移植センターのホームページには、「臓器提供が政府によって支持されている国は、世界広しと言えども中国だけであり」「政府の支持なしにはこのように多数の移植を実行することは不可能であった」ことが述べられている。問わず語りで、臓器の流通には政府高官が関与しており、受益者になっていることを述べている。中国国際移植サポートセンター(CITNAC)のホムページには移植手術の費用が明記されており、例えば肝臓移植では1,310万円、心臓移植では1,670万、角膜移植では350万とある。この不道徳を黙認することにより得る実益は、彼らにとり天文学的な額の利益であることがわかる。
3.中国政府は「臓器は死刑囚から得ている」としているが、移植にかんする医学的見地からみて(臓器の免疫的適合度は例えば腎臓の場合は6.5%)年間の死刑囚数から算出される適合腎臓数をはるかに上回る(100倍ほど)件数の移植が行われている。つまり、死刑酸xun_ネ外に、より重要な臓器供給源が想定される。
4.中国における移植手術の待ち時間は1~2週間とされるが、一般には適合臓器供給源を待つには、数年から十数年の時間を要する。つまり、極めて巨大なドナーバンクの存在が想定される。
5.この蛮行の証言者は極めて少ないが、貴重な例として、中国遼寧省血栓病院の元職員(現在アメリカ在住)A氏は、以前の夫は同病院の外科医であり、法輪功学習者から多数の角膜摘出を行ってきたこと、本病院の下部機関である中西医結合治療センターの地下には、臓器提供予備軍として多数の法輪功学習者を拘留していたことを暴露している。
6.その他、移植を希望する患者をよそおい、中国の移植病院へ国際電話で聞き込みを行ったところ、「新鮮で質の良い健康な臓器」の手配は難しいことではないとの会話が多数録音されている。
私がもっともあせりを感ずるのは、この件について日本のマスコミが全く沈黙しており、政府がこの件で中国に改善を要求するといった抗議行動を起こす気配がまったくないことです。他の国際社会は既に各種の行動を起こしています。例えば、
アメリカ:81名の国会議員がブッシュ大統領に対して、「中国政府に対し、法輪功学習者の臓器摘出売買を中止するよう勧告する」よう、署名による依頼を行った。
http://www.clearwisdom.net/emh/articles/2006/4/25/72401.html
EU :EU議会でで、中国の臓器摘出売買について聴聞会が開かれた。中国政府に対し、「すべての強制労働施設を開放し、外部の調査をうけるように」とのコメントを発表した。
http://www.clearwisdom.net/emh/articles/2006/5/4/72822.html
台湾 :54名の立法委員が国際社会に対し、「中国の強制労働施設を調査するように」と提案した。
http://www.clearwisdom.net/emh/articles/2006/4/23/72323.html
ポーランド:かつてナチスの秘密収容所が存在し、大量虐殺がおこなわれたオースリッジで、「Never Again」フォーラムを開催し、この蛮行を止めさせるべく全世界に発信した。
http://www.theepochtimes.com/news/6-5-10/41389.html
この文の最初に書きましたように、10月16日、日本戦略研究フォーラム主催による報告会「恐るべき中国の臓器移植の実態」の席上、ジャーナリストの桜井よしこ氏、元経済産業大臣・現日華議員懇談会会長の平沼赳夫氏のお顔を拝見できたのは大きな驚きであり、喜びでした。彼らは相当な影響力を行使できる方々ですので、遅ればせながら日本も動き出すことを期待しますが、私も私にできることをしたいと思います。それは、一人でも多くの友達にこのことを知ってもらい、関心を持ってもらうことです。かなり長い文章を読んでくださり、有難うございました。お元気で。
PS1:2006年7月20~25日、東京都庁において、「世界の人権を考える議員連盟」主催の「中国の人権侵害」-写真・絵画・展示会-が開催されました。そのときの写真を添付しました。見て心地よい画面ではありませんが、これが21世紀の現実の一部であることを知っておくことは無駄ではないと思います。
PS2:名もない一市民が何かを主張しようと思うと容易ではありません。そこで、見てくださる方の数は極めて少ないことを承知しつつ、ブログを始めました。随筆風ブログですが、中国についての記載が多く、時間のあるときに覗いていただければ嬉しいです。
http://blogs.yahoo.co.jp/gansan2001