【大紀元日本12月13日】バングラデシュの銀行家ムハンマド・ユーナス (Muhammad Yunus)氏と、同氏が創設した農村銀行「グラミーン銀行」が10日、数百万人の貧しい人を支援し、貧困から脱出させたとしてノーベル平和賞を受賞した。貧しい人々に無担保で貸し出しを行うマイクロ・クレジット事業による自立支援システムは、世界の発展途上国で採用されている。
経済学者から慈善銀行家に転身したユーナス氏には、140万ドルの賞金が贈られた。授賞式でのスピーチでユーナス氏は、「貧困は平和への脅威」と述べ、未来の構想として、例えば農村銀行や同氏が設立したその他の合弁企業のような「社会事業」を土台に、共存共栄となる経済体制を構築する計画を説明した。これらの事業で得た利益は分配するのではなく、再投資するという。
ベガムさん( 左)とユーナス氏(Getty Images)
グラミーン銀行から融資を受け事業を成功させた女性のタスリマ・ベガムさんは、同銀行の約7百万人の投資家や債権者を代表して、ノーベル平和賞を受け取った。ベガムさんは1992年に融資を受けヤギを購入したことを手始めに事業を拡大し、現在ではマンゴー農園や養殖場などを所有している。同銀行の理事も務める。
ユーナス氏は米国で経済学の博士号を取得し、バングラデシュのチッタゴン大学経済学部の主任を務めた。同氏は伝統的な金融システムと低効率の官僚体制に挑戦しながら、この30年間に、42人の極貧の農婦にそれぞれ27ドルを融資した。 今では融資先の顧客が400万人(その96%は女性)近くに上り、1万2千5百人の従業員を擁する巨大な農村銀行に成長した。同氏の銀行は、4万6千ヵ所の村で1,277の支店を設け、融資の償還率は98・89%に達し、「貧しい人は金持ちより信用を大事にすることを証明した」という。
ユーナス氏の金融理念とバングラデシュでの農村銀行の発展モデルは、中国を含む発展途上国にも採用され、アジアやアフリカ、南米など、世界各国から注目されている。