【大紀元日本1月1日】「これは中国のシンクタンクと日本右翼の真正面からの交戦だ」。中国官製メディア新華社は12月28日、日中両国が10月末東京で開かれた会議「第3回日中安保対話」について発表した評論文の冒頭で、このように書いた。同評論文は中国側を代表して会議に参加した中国社会科学院日本研究所(所長・蒋立峰)のスタッフによって書かれたものだが、なぜか東京での対話が終わって2ヶ月も経ってから、日中歴史共同研究会議が北京で行われた際に(12月26、27日)、初めて発表された。同評論文は、会談に参加した日本側の岡崎研究所(所長・岡崎久彦理事長)を右翼と呼び、日中関係に与える影響において「悪い作用を果たしている」とし、「日本の右翼は、(中国脅威論を捨てて)中国の台頭に直面すべきだ」と結んだ。
「中国学者と日本右翼の交戦、日本は中国の台頭を回避できず」と題するこの評論文では、靖国参拝、台湾問題、日米同盟など、10月に開かれた会議について次のようにまとめられた。
靖国神社問題について
日本側の岡崎久彦理事長は会議に先立ち、「ここ数年の周辺情勢の変化を中国に認識してほしい。愛国主義教育と靖国神社問題における中国の態度は日本の民族主義を刺激した。日本はもはや、平和または友好の世辞で単純に動かせる民族ではない。中国は日本政治と社会に真に責任を負う階層と付き合うべきだ」と発言した。
これに対し、中国側の蒋所長は、「中国の反点xun_、国主義教育は日本の民族主義を刺激したという言い方に同意できない。1998年に江沢民主席が日本に対して言及した歴史問題は、侵略戦争の歴史を曖昧にし否定する、日本国内の動向に基づいたのである。日本国民の注意を喚起させる目的であり、古い債務を精算する意味ではない。岡崎先生が我々はどのような日本人と付き合うべきだと話したが、我々は日本の右翼を含めて全ての日本人との交流を拒否するものではない」と応じた。
岡崎研究所の山本理事と鈴木邦子特別研究員の見解:安倍内閣の誕生(及び小泉前首相の高い支持率)の背景について、その原因の一つは、中国の対日政策である…小泉前首相の靖国参拝の結果を見ても、歴史問題は外交カードとしての効力はすでに失いつつある。
中国側の学者の回答:小泉氏(前首相)などの政治要人が、中国は歴史問題を外交カードにしていると主張しているが、彼らこそこのカードを切って国内では政治の点数を獲得し、外交では安全戦略に利用しようとしている。安倍(首相)は現在この使うべきではないカードを放棄すると決めたので、非常に賢明である。中国政府の対日方針は確定であり、政策上ではどの時期においてもカードを使って中日関係を壊そうとは考えなかったのだ。唯一考えているのは16字の方針-「平和共処(平和共存)、世代友好(代々友好)、互利合作(相互協力)、共同発展」なのだ。
台湾問題について
岡崎研究所を中国で有名にさせたのは、同所スタッフの台湾問題における立場と言論である。彼らは「強硬な台湾独立擁護派」といえる。
蒋所長などの中国側の学者が、岡崎理事長のよく知られている観点として、「台湾海峡両岸が統一を実現すれば、日本の国家安全と利益が脅かされ損害を受ける」を取り上げた。こうした考えは冷戦思想と過剰な危機意識の表れで、日本の戦前の認識や政策を連想させる。中国の対日政策は前述の16字の外交方針であり、長く続ける長期的な方針である。中国が統一を実現しても日本の海上運輸線を攻撃したり、日本の安全を脅かしたりする理由はないとした。
中国軍事脅威論について
岡崎理事長をはじめ、金田秀昭と佐藤守などの岡崎研究所主要スタッフのほとんどが、「中国軍事脅威論」のような言論を述べたことがある。
それに対し、中国側の蒋所長は、「実際、中国の軍事力はまだ発展途上であり、日本とは比べられないレベルである。我々はもっと新しい観点を持ち、脅威問題より協力問題についてと討論すべきだ。安倍首相は、中国で来年中国海南島のボアオで開かれるフォーラム(アジア域内及びアジアと他の地域との間の経済分野での協力関係強化する会議)に出席し、中国の軍事発展は脅威ではないとはっきり表明してくれると思う」と述べた。
同評論文をまとめた中国社会科学院日本研究所の呉懐中・研究員は、岡崎研究所を右翼シンクタンクとして紹介し、同研究所は、「右翼保守、親米反華」とし、日中関係に与える影響において「悪い作用を果たしている」、中国に関する全ての「反動的な言論」を発表しているという。しかし、今回のような中国学者との交流を通して、日本側の参加者は少しずつ日中友好協力の論調になってきていると分析している。