【大紀元日本1月5日】中国社会科学院社会科学文献出版社はこのほど、「2007年:中国社会情勢の分析及び予測」と題する社会青書を出版した。この社会青書の調査によると、都市、農村住民の見方として、現在の「看病難、看病貴(医療費が高すぎ、病気を診るのが困難の意)”」「就業、失業問題」、「過大な収入格差、貧富の二極分化」が、最も突出した三大社会問題であるという。ラジオ自由アジア(RFA)NO
希望・記者が取材した。
2007年の中国社会青書によると、調査した17の社会問題について、都市、農村住民が重視する問題として、第1位から第3位にランクされた問題は、それぞれ、「看病難、看病貴(医療費が高すぎ、病気を診るのが困難の意)」「就業、失業問題」「過大な収入格差、貧富の二極分化」であった。また、第4位から第6位は、「汚職、腐敗の問題」「養老(老齢)保障問題」「教育費用の問題」で、第7位から第10位が、「高すぎる住宅費用」「社会治安問題」「社会の風潮の問題」「環境汚染の問題」であった。さらに、このランクについて、地区、都市・農村、グループ間で顕著な差異は見られなかった。
青書の指摘によると、過去の調査においては、通常、就業・失業、収入格差、汚職・腐敗、社会保障が社会問題の上位4つを占めており、「看病難、看病貴」が第1位になったのは、今回が初であった。
都市、農村の家庭における一人当たりの総消費支出のうち、医療支出が11・8%、教育支出が10・6%を占めており、これらの数字は、交通通信支出(7・4%)、衣服向け支出の6.3%を大きく上回っていたが、このことも、都市、農村住民の家庭における医療、教育支出の負担が、最近の数年間において急激に増加している問題を反映している。
米国・ニューヨーク市立大学の社会学者である夏明教授は、中国における貧富の格差の現象について次のように述べている。
「中国においては、現在、非常に強い‘社会のエレベーター運動’が発生しており、比較的多くの人々が中産階級に上昇しています。しかも、ごく一部の人々が上層階級に上昇し、非常に豊かになっています。同時に、もともとの2大グループである農民、労働者は、人民公社の崩壊と、勤務単位の私有化、制度改革に伴い、社会の階層分化の過程の中で、止まることなく下降しており、現在の中国において、急速に、貧困グループの方向に向かっています。このグループの多くの人々には職業すらありません。失地農民、農村の過剰労働力が都市に移転して流動人口となっているほか、一部のリストラされた労働者、定年前に解雇、退職した労働者が、いわゆる農村、都市の新貧困層を形成しています。現在、中国の貧富の格差は急激に拡大しており、これが、中国政府にとって、非常に大きな試練となっています。”
貧富格差の問題が、中国政府の希望する和諧(調和)社会の建設の障害となりうるという点について、夏明教授は、「貧富格差問題の存在は、中国政府による和諧社会の建設を不可能にする」と述べている。
中国新浪網の報道によると、この調査は、2006年3月から7月にかけて、中国社会科学院社会学研究所が、厳密な科学的サンプリング調査方法に従い、全国で実施した「社会の調和、安定の問題に関するサンプリング調査」である。この調査は28の省(市、自治区)、130の県(市、区)、260の郷 (鎮、街道)及び520の村(住民委員会)をカバーしており、調査対象は7140世帯、アンケートの有効回答数は、7061であった。調査の誤差は2%未満で、統計推測上の要求を満たしている。