【大紀元日本1月15日】中国政府によると、新疆公安当局は今月5日、いわゆる「東トルキスタン・イスラム運動」の訓練基地を襲撃し、18人を射殺、17人を逮捕した。それによると、「テロ組織」の「東トルキスタン・イスラム運動」が中核メンバーを中国に送り込み、新疆のパミール高原山間部で、テロリズム訓練基地を建設し、中国の分裂活動を行っているという。これに対し、「世界ウイグル族代表大会」の主席レビア・カデル氏(60)=米国に亡命=は、中共当局の発表に懐疑的な見方を示し、国際社会に対し同強襲案件を独立調査するよう呼びかけている。
米国に亡命中の新疆自治区・ウイグル族の民主活動家、「世界ウイグル族代表大会」主席のレビア・カデル氏は、BBCの電話取材で、「東トルキスタン・イスラム運動」のテロ分子・養成訓練基地という中共当局の説明に懐疑的な見方を示し、「そもそも、『東トルキスタン・イスラム運動』というウイグル人組織は存在しない」と述べた。レビア氏は、「新疆ウイグル自治区には確かに、中共政権に反対するウイグル人組織が存在するが、それらはテロ組織ではない」と強調、「国内にも国外にも、ウイグル族によるテロ組織は存在しない。ウイグル族の組織は平和的な手段で訴えている」と説明した。
中国はこのほど、キルギスタン国境に近い「テロ分子」養成基地を強襲、続いてタジキスタン国境から新疆ウイグル自治区内に25km入った地点の「基地」も摘発している。こういった中共当局による「中央アジアいじめ」には、これら中央アジアの国々が「共産ドクトリン嫌い」で、経済復興とともに民主化を模索しているという背景があり、同時に一民族一言語を有するウイグル族が中共中央の同化政策に不満をもって独立したい意向があるのも積年に渡る潜在的な原因だ。民主活動家からは、「中共当局は、北京五輪開催を前に、海外メディアへの取材制限を軽減する一方、これを口実に安全な開催環境を確保すると称して、民主活動家やウイグル族などに対し弾圧を強めている」と非難する声が上がっている。
レビア氏は中国国内において、かつては事業で成功した実業家だった。最盛期では純資産が2億元(約28億円)を超え、全国の億万長者番付の5番目に入った。当時では、中国共産党政権の政府組織「全国政治協会」の委員を務め、新疆ウイグル族自治区政府の要職を歴任していた。1999年に、彼女は新疆に訪れていた米国議会関係者の代表団と面会する際に、突然逮捕された。2003年3月、「国外組織に国家情報を違法提供」との罪で、有期懲役8年の判決を受けた。2005年3月、ライス米国務長官が訪中する直前に、中国共産党政権は、病院で治療を受けさせるとの理由で彼女を釈放、その直後にレビア氏は米国に渡った。