【大紀元日本1月17日】
元凶は30兆元の投資資金
中国紙「今日商報」の報道によると、以前『株式市場カジノ理論』を唱えた国務院発展研究センターの呉敬●(ウー・チンリェン)・研究員はこのほど国内株式市場の急騰について「市場に流れ込んだおよそ30兆元(約465兆円)の投資資金が元凶だ」とし、人民銀行(中央銀行)が一段利上げする可能性はかなり高いと示した。(●は王へんに連)
呉氏は中国国内の過剰流動性がかなり深刻で、市場にはおよそ30兆元のホットマネーが流れ込んでいるため、最近株式市場の急騰や去年まで不動産市場のバブル的な熱狂を招いた、との認識を示した。また、呉氏は「もし過剰流動性がなければ、このような強気市場は持続できなくなるだろう」と述べた。元モルガン・スタンレーアジア・パシフィック・ファンド上級エコノミストの謝国忠氏も同様に『流動性強気市場理論』を持する。
1月5日中国人民銀行は過剰な流動性や比較的大幅に拡大する貸出しを抑制することを目的とし、大手国有銀行や株式化された商業銀行などに対する預金準備率を0・5%ポイント引き上げた。しかし、人民銀行の周小川・総裁は利上げ後、国内過剰な流動性が改善されていないため、今後過剰流動性を抑制するため追加利上げを含むより多くの措置を採る可能性が高いと示した。クレディ・スイスグループ上級エコノミストの陶冬氏は、今年前半期の6ヶ月以内に人民銀行は他の国有銀行や商業銀行に対する預金準備率を1、2回にわたってさらに引き上げていくほか、現行の政策金利に対しても1、2回の追加利上げを実施する可能性があり、毎回約0・27%のペースで引き上げていくとした。また、JPモルガン・チェース中国支社の●方雄(ゴン・ファンション)氏は、預金準備率の追加利上げについては今年少なくとも3回でとし、政策金利については、これからの数ヶ月間には0・27%引き上げる確率は約70%であると述べた。(●は龍の下に共)
また、「今日商報」のインタビューを受けた南京大学の杜亜斌教授は、同様に人民銀行が今年追加利上げを踏み切る可能性を示しつつ、追加利上げで根本的に過剰流動性問題を解決できないし、新たな流動性問題を招きかねないと述べた。また、杜教授は「中国の為替改革において進展がなければ、預金準備率や政策金利を引き上げるだけには実質的な問題を解決できない。国内過剰流動性を招いたのは伸びすぎた中国の国際収支だ。したがって、過剰流動性を解決するには、国際収支を減らすことから始めなければならない。そうでなければ、ほかに解決方法がない」と言った。
バブル化しているA株市場
北京晨報の報道によると、元モルガン・スタンレーアジア・パシフィック・ファンド上級エコノミストで、または過熱化した中国不動産市場や「オープン型投資信託」(或いはオープンファンド)投資に警告した謝国忠氏は近日国内及び香港株式市場の急騰に関して、バブルの兆候が見られるとの懸念を示したという。
過去一年間、中国の人民元建てで取引されるA株市場の株価は倍以上急騰した。大多数楽観的な投資家やエコノミストと正反対に、謝氏は「過剰な流動性によって株価は倍以上に急騰したが、しかし2000~01年にITバブルが崩壊したように、将来中国株式市場にも同様に痛みを伴う調整が現れるだろう」と話した。
謝氏は、過熱化した不動産市場やオープン投資信託への投資、または急騰する株式市場、皆国内の深刻となった過剰流動性の表れで、過剰な資金流入によって株価指数が急騰し、バブルを引き起こしたと認識する。
謝氏は、「中国株式市場の規模はGDPに占める割合が依然に小さいので、株価の上昇は株式市場の規模を経済全体とのバランスを釣り合わせることができる」との普遍的な見方に対して、「完全に間違えている」とコメントをした。上海や香港株式市場、または海外の株式市場に上場している中国企業の資金調達額はすでにGDPの90%に達しており、これは世界平均水準に相当すると謝氏が説明する。
また、謝氏がもっとも心配しているのは去年暴騰した株価収益率(PER=Price Earning Ratio)であるという。2006年中国株式市場の株価収益率は約25倍であるという。しかし、株式市場に上場する企業の売り上げ収益が低いため、株価収益率が15倍にとどまるのが適切であると謝氏がいう。
最後に謝氏は、今回の強気市場は以前と同様に、政府の政策変更や調整で終焉し、将来長い間に、中国経済には金融資本市場の激しい高下が常に伴うだろうと予測している。