【大紀元日本1月28日】言論を厳しく規制する中国では、当局が提唱する権威的文化を皮肉ったり、風刺したりする「悪ふざけ」のパロディ文化が、近年ネット上で流行となり人気を博している。最近1億3千万人の中国のネットユーザーの心をとらえたのは、一匹のウサギである。イギリスの有名漫画キャラクターの自殺ウサギからインスピレーションを受けた中国語版の自殺ウサギは、最も熱い話題のニュース現場でユーモラスなやり方で自殺をテーマにしている。ブラック・ユーモアに満ちたパロディは、中国の民衆が社会の激変する過程に遭遇するあらゆる理不尽さと詐欺のエピソードを茶化し、多くのネットユーザーの心をつかんだ。
この自殺ウサギは、北京在住の劉剛さんにより創出された。イギリス漫画家アンディ・ ライリーの作品「自殺のウサギ」からインスピレーションを受け、昨年8月から、劉さんは「右手」という署名で中国語版のウサギをネット上で発表した後、一躍人気の的になった。中国社会の現実生活シーンと話題のニュース現場を設定して自殺を試みるこのウサギとの遭遇は、普通の中国人が誰でも日常生活にありえる不幸と理不尽さを表現し、中国社会の病的な現象と人間性の堕落を描いている。
例えば、自殺ウサギはヒラメを食べて自殺しようとするシーンがある。それは最近中国の話題のニュース、養殖魚から発ガン中毒物質が検出された事件について暗に言及している。また、自殺ウサギは粉ミルクを飲んで自殺するエピソードは、子どもが粉ミルクで中毒した事件の中国の偽製品問題を風刺している。バラック・ユーモアのスタイルと中国経済繁栄に潜んでいる病的な現象を表現しているため、この中国語版の自殺ウサギは、多くの人気を獲得し、各人気サイトの熱い話題となっている。
作者の劉さんによると、この自殺ウサギは、穀物と人参を主食とするもので、攻撃性に欠ける人物であり、中国社会の弱者に類似する。このようなキャラクターはもっとも同情を得やすいという。
しかし、言論を厳しく規制、全ての出版物と報道を検閲する中国では、自殺ウサギも自分の言動をコントロールしている。ブッシュ米大統領をからかったり、日本製車に悪ふさげしたりするウサギでも、共産党幹部の腐敗問題や選挙開放などの問題は回避している。これらの話題は当局にタブー視されているからだ。
劉さんは、外国メディアの取材で「私は政治には興味がない。普通の人々の生活に注目している…私の作品は、社会の時事と密接に繋がっている。しかし、わたしたちが触れてはいけないテーマもある」と話している。