【大紀元日本2月3日】中国当局はインターネットにおける情報伝播のコントロールを強化するために、これまでに実名制度でブログの開設を推し進めてきた。これに対して、1月29日に中国で初めて実名によるブログは北京で正式に開設されたが、ブログ関係者によると、当局の思惑とは異なり、実名制度は、民衆が当局に対する中国共産党(中共)政権の強権政治に対する恐怖心を取り除く効果があるという。
ラジオ自由アジア放送局によると、「博克聯合社区(以下、博聯社)」は、自由に出入りできる開放式登録ではなく、招請、推薦、自己推薦の形によって登録されるものとし、さらに厳密な専門性資質および身元調査を行った上、初めてブログの正式の開設者になるというシステムである。博聯社は、ネット・サイトのトップページで、実名制によって、法律を守り、自律かつ透明性のある誠実なネットの生存と表現方法を推進したいと述べている。
米国で中国語デジタル・オンライン・マガジン「大参考」を主宰する李洪寛・編集長は、実名とペンネームでブログへ文章を発表しても、インターネットの生態構造に対する影響は大きくないと分析した。
李・編集長は「実質上、両者には何の違いもなく、本人が誰であるかによるものだ。例えば、江沢民と胡錦濤が実名またはペンネームで文章を発表した場合は、話は別だが、一般のネット利用者の場合は、大した区別はない。共産党は私心があって、要するに、身元がはっきりしているから、公安は容易に目をつけた人を逮捕できるからだ。ブログで文章を掲載する場合、実名とペンネームのどちらを使っても変らない」と語った
博聯社の作成者応募登録条件(大紀元)
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情報筋によると、現在中国のブログの作成者は2千万人に達しており、ブログを訪問する者は1億人を超えていることから、ブログ作成者数および訪問者数において世界一になるという。
一方、米在住の中国人作家・鄭義氏は、中国語の社会では、ペンネームの使用について、それなりの伝統があるため、政府の抑圧と報復を恐れているわけでもない。中国当局は、実名制度はネット上で当局にとって不都合な言論に対する威嚇と思っているが、実名制度は必ずしも有効であるとは限らないと示唆した。
鄭氏は「ペンネームで文章を発表するとは、主に一種の安全感があるからだ。ペンネームの場合は、率直に言論発表ができる。実名の場合は、最初はやはり躊躇するが、一度試して何も危険性が感じなければ、次回から強気になる。さらに、何の問題も起きなければ、さらに気が大きくなる。今は毛沢東の時代のように、言葉で罪をなすり付けられることはできない。そんな大きい力はもはやないからだ。この状況下、人々の言論が一旦実名で開放すれば、それぞれの言論は選挙時の一票と同じく、偽りのないものであり、統治者への抑圧は大きくなる」と分析した。
インターネットの虚構世界では、ペンネームはネット利用者に安全感をもたらし、大いに語らせることができる。しかし、鄭氏自身は、ネットで自己の見方および文章を発表するすべての人に対して、実名で行うことを望んでいるという。なぜなら、実名発表は、中国人の内心の恐怖感を取り除くために役に立つからだと主張した。
鄭氏は「十数年前の場合、恐怖に満ちる雰囲気は強かったため、実名で文章を発表した人は、本当のことを語る人は非常に少なかった。しかし、今日では、当局のコントロールの力は大いに弱まり、さらに多くの人が実名で真実を語ることによって、我々自身の心の奥底にある恐怖政治の克服に役立つ」と語った。
鄭氏は、中国のネット人口が多いことから、当局にとって不都合な言論を全面的に食い止めることは難しいため、実名で自己の真の見方を表現することは、一種の真実の民意を形成し、中国政府に対して世論の圧力になると分析した。