浙江省杭州市:区政府、暴力・恐喝など不当手段で強制立ち退き

2007/02/14 更新: 2007/02/14

【大紀元日本2月14日】浙江省杭州市上城区政府はこのほど、市政府命令を無視し、観光名所・呉山周辺の大井巷、伍公山一帯の住民に対して恐喝、暴力と勾留などの手段を行使し、住民を強制的に立ち退きさせたという。住民たちによると、これまでに区長と話し合いを持ち、北京市にまで直訴したがまったく回答が得られなかったという。地元当局は、住民に対して「取り壊さなくても追い払い、一戸も残さない」と指示を下したという。

*市政府命令を無視、民家を不法に取り壊す区政府

情報筋によると、杭州市政府は2002年および2004年に、市長代164号令および215号令を公布し、清河坊は歴史遺産として同地域は、修繕は行うが取り壊すことは許されないとし、民家はそのまま保留し、伝統文化および歴史的風俗習慣を保つようにと明確に規定されているという。しかし、上城区政府は昨年より市政府の指令を無視し、住民に対して強制的に立ち退きさせ、民家を不法に取り壊しているという。

大井巷の住民の于さんによると、区政府の規定では第1期に13戸が保留されたが、第2期はすべて強制的に収用されることになっており、20数戸の家族は10数戸が強制的に立ち退きさせられたという。住民によると、政府は商業地域にするために、全区域を強制収用したという。また、当局が1平方メートルに対して7~8万元(107~123万円)で競売されているのに対して、住民たちには1平方メートルに対して4900元(約7万5千円)しか支払われない上、卑怯な手段で売買契約に署名させ、追い出したという。これに対して、現在は10数戸の住民が契約に署名することを拒否し、于さんの87歳の母親も断固反対しているという。

*当局に暴力を振るわれ、一家4人が意識不明

大井巷77~79号の陳継良さんは、同地域で最初に強制的に立ち退きさせられた。昨年10月23日午後2時ごろ、公安局、街道管理、上城区委員らが率いた100人以上の男たちが陳さんの自宅に押し入り、陳氏夫妻を外へ強制的に連れ出したという。

目撃者によると、当時は多くの傍観者が集まっており、地元当局側の者が陳氏夫妻に対して「この家は今から君たちのものではなくなった」と言い、ドア、窓などを破壊した。陳さんの長男が彼らにドアを直すように求めた突端に、当局の者に脳震盪になるまで殴られ、さらに自宅から巷の出口まで引きずられたという。周辺の住民たちが追いかけ、非難したから、当局の者がようやく長男を放したという。

しかし、殴打されたのは、長男だけではなく、陳さん一家4人が揉みあいの中で、当局の者に暴力に振るわれ意識不明になり、病院へ運ばれたという。意識が戻った陳継良さんは派出所に勾留されたという。当局はさらに、陳さんの自宅から家具なの家財を運び出し、コンクリートとレンガで入り口を封鎖したという。

*必死に家屋を守る住民ら

本年1月15日、上城区街区管理委員会立ち退き執行委員会は、一切の手続きも踏まずに同区内中山中路9号の金必定さんに対して立ち退き命令を下した。当日午後7時ごろ、当局の者が大勢で金さんの自宅を目掛けて、取り壊しに押し込んだ。金さんの兄が片手に石油、片手にライターで焼身自殺を図る所まで追い込まれた。周辺の住民たちがその場で当局に対して強く非難し、事件は取り敢えず収まったという。

目撃者によると、金さんの母親(70歳代)は精神的重圧により1月15日に倒れ、病院へ運ばれた。上城区政府は警察車両を5台、20数人を派遣し、金さんの自宅を監視したという。さらに、金さんの2人の息子は人質として、強制連行された。当局は母親に対して2人の息子を引き換えに契約に署名を強要したという。17日、金さん兄弟は再び契約の署名を迫られた。兄弟は当局に対して、生計を立てる手立ての交渉をしたが、逆に9万元(約138万円)の請求をされ、双方がもめた。その場にいた当局関係者が自らグラスで自身の体に傷を付け、駆けつけた警察に対して金さん兄弟から暴力をふるわれたと言いがかりをつけ、告訴すると脅迫された。結局、兄弟は、傷害罪で勾留された。金さん一家は精神的に耐えられなくなり、立ち退きするこ

住民たちは、追悼式用の花輪を家の前に飾り、「野蛮な強制的立ち退きを反対、私有住宅の保留を要求する」などのスローガンが書かれている(大紀元)

とにしたという。

地元の住民によると、屋台でマフラー、手袋の販売を営んでいる老夫婦の自宅に、昨年12月23日午前9時過ぎに、4~5人の私服警察がいきなり老夫婦を強制連行し、市内の満江楼ホテルの裏にある警察大隊に監禁し、老夫婦自宅の家具などの家財をすべて運び出した後、家屋を取り壊したという。これが大井巷で2件目の強制立ち退きとなった。

*口封じされた地元メディア

地元の住民たちは、伝統民俗文化財産を有する大井巷が中心とする清河坊地域を保持するために、昨年8月より5度にわたり北京へ直訴を行ったが、途中で阻止され連れ戻されたという。杭州の公安らが住民たちに対して「あなたたちは行ってはいけないところへ出かけたのだ」と回答したという。

住民は「地元政府は土地を強制的に収用し、市民を騙したことは強盗と同様だ。地元のメディアへ連絡しても、皆が恐れて誰も来ないし、皆は口を封じられたのだ。嗚呼、「調和社会」の背後に、われわれはどんなに辛いのか」と嘆いた。

情報筋によると、上城区政府は強制に立ち退きを強化しており、住民たちは苛立って落ち着かないでいる。住民たちは、国内外の世論がこのことに強い関心を寄せ、強制的に立ち退きさせる不法行為を制止するよう呼びかけ

負傷した大井巷の住民(大紀元)

た。

 (記者・古清児)
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