香港調査:報道関係者、返還前より報道の自由が後退

2007/02/15 更新: 2007/02/15

【大紀元日本2月15日】香港嶺南大学公共管治研究機関は2月10日に、香港の報道自由に関する調査を行い、6割の報道関係者が香港の報道自由度は1997年の中国返還時に比べて後退しているとし、香港メディアの自己規制状況が日増しに深刻になっている結果を発表した。

同研究機関は、本年1月に500人あまりの香港在職報道関係者を対象に調査を行い、58・4%が香港の報道の自由は1997年に香港主権が英国から中国へ移行した時期に比べ後退していると示している。これに対して、香港報道関係業界における自己規制が現れたことと香港政府が情報統制を強化したことが主な原因であるとみられる。また、約6割が業界における自己審査は10年前に比べ厳しくなったとした。自己審査内容としては、中国政府にとって不都合な報道、敏感な報道およびメディア経営者の利益関連にマイナスの情報などを避けるようになったという。一方、調査対象の30%が過去1年間において自己規制を行ったことがあるとし、40%が同僚または管理職が自己規制していたことが分かった。

*香港記者協会会長、調査結果に驚愕

香港記者協会の胡麗雲・会長は同調査結果に対して驚きを示したが、実際の状況はさらに深刻であると示唆した。胡主席は、「そのために、香港記者協会は報道関係者へそれぞれがしっかりと責任を持つように呼びかける。何に対しても恐れない態度で、公正に報道を行い、報道の本質を見極めて取捨すべきである」と強調した。

嶺南大学は同時に700人以上の香港市民に対して世論調査を行った。約20%の市民は報道の正確さが欠けていることが主要な問題であるとの見方を示したことに対して、45%の市民が「特に意見なし」との回答だった。一方、53・7%の市民と46・2%の報道関係者が、特区政府が報道メディアの活動に影響を与えようと企んでいるとし、10年前に英政府が管轄した時に比べ、制約がより顕著であるとの意見を示した。胡会長は香港市民がマスメディアに対する信用回復を図るために、香港の報道関係者に対して、プロフェショナルの姿勢で報道と編集を行うよう呼びかけた。

*香港行政長官候補、透明度の重要性を強調

次期香港行政長官候補で香港立法会の梁家傑・議員は、この調査結果について「恐ろしい」とのコメントを示した。梁議員は、調査結果により、香港の商業メディアは、政府、中央の顔色を伺いながら仕事をする姿勢がすでに現れたと警告し、「ここ数年間、政府は情報伝達において後退現象が現れている。曾蔭権・現香港行政長官にまで、選挙委員との会見または政見発表時も公衆に参与させないことにしている。実際、政府が民衆の信頼を獲得するためには、透明度が非常に重要であるのだ」と指摘した。

また、同議員は、報道の自由は非常に重要であり、香港の報道の自由を保障できなければ、言論自由および情報流通なども維持できなくなり、国際金融の中心である香港の地位にまで影響を及ぼすとの懸念を示した。

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