【大紀元日本2月16日】韓国与党のウリ党議員23人が6日、集団で離党することを表明、新党を結成後にさらに新たに離党議員を受け入れたい意向だ。韓国メディアはこのような状況について、盧武鉉政権がこれまで一貫して親北政策を採り続けたために、国政、経済が悪循環に陥り、国民の徹底した失望を買ったことが原因であると分析した。
*船が沈めば、人は逃げる
韓国の三大メディアの内、「東亜日報」は今回のことについて、国民が盧大統領に対する嫌悪感を振り払うために、議員たちは先を争って「沈没寸前の船」ウリ党から逃げたと批判した。これら逃亡した議員には、将来的な先行きの勝算など全く無く、現実的な計画性もなかったが、「すぐ逃げなければ共に沈没する」という絶望感だけが蔓延していたという。
盧武鉉氏が大統領に就任してから、韓国の経済成長率は下降し、若者の就職口が先細り、地価が高騰し、為替が不安定になり、家庭負債総額が2002年末の439万億ウォンから昨年末の559万億ウォンへ激増、家庭負債平均額が4年間で21%も増加し(2915万ウォン~3518ウォン/約379万円~458万円)、昨年の個人破産も10万人を超え、記録破りだった。さらに、北朝鮮の核兵器を背景に、国家安全問題、教育問題も抱え、問題は山積だ。実際、国民の政権支持率は10%まで落ちており、大統領本人までも「徹底的に国民の評価を放棄した」。韓国最大手「朝鮮日報」は1月26日の社説で、大統領がウリ党の方針を支持すれば却って政権の崩壊を促すと指摘、「大統領はただ北を助けたい一心で、何もしなければ北を害するとしているが、(その方が)支持率は上昇する」と揶揄した。このような状況下にあって、ウリ党・議員の多くは、現政権では韓国政治に未来はないとの見方を示している。
これに対して一部のメディアらは、これらの結果が、盧大統領の親北政策のツケであると指摘している。
*経済政策の失敗
米世論調査団体のギャラップ機構・韓国支社による2006年の調査結果では、韓国国民10人のうち6人が「韓国の未来は暗い」と回答した。また、政府にとって、今年最優先すべき重要な課題について、調査対象者の50・5%が「経済活力の復活と国家競争力の強化」と回答したのに対し、10%が「来年になれば経済が好転する」と回答、51%が「経済はさらに悪化する」と答えた。しかし、盧大統領は「経済成長率を高めれば、貧富の両極化が深刻になる」との見解を示しており、裕福層を締め付ける経済政策に傾きつつある。
「朝鮮日報」は2006年2月20日の社説で、「現政権は中産階級と民衆のために働くと標榜しているが、実際、中産階級は崩壊し、貧富の格差はさらに拡大した。一方、投資を増加し、雇用を促進することが民衆にとってもっとも良い福利対策であり、これこそが経済理論で常識であるにも拘わらず、現政権は一貫して、裕福層を「締め付け」、貧困層を刺激する政策の実施で、結局、投資が減少し、雇用も縮小したため、貧困層はますます厳しくなった」と指摘した。
*非難轟々の「太陽政策」
現政権が一貫して堅持してきた「太陽政策」も各界から非難ごうごうだ。昨年、韓国社会世論研究所(KSOI)の世論調査結果では、政府の対北朝鮮政策に関して、国民の54・3%が、これを機に徹底的に再検討すべきだと示した。35・9%が「政策方向は維持しても良いが、一部の内容修正が必要」、7・8%が「現状維持」と回答した。
「東亜日報」の報道によると、韓国のシンクタンク韓半島先進化財団の理事長で、ソウル大学国際研究生院の朴世逸教授は5日午後、ソウル市中区貞洞培才学術支援センターで開かれた記者会見で、「現行の対北朝鮮政策では、核問題を含む北朝鮮問題および統一問題の解決はできない」との認識を示した。
太陽政策が全体的に失敗した原因について、朴氏は「1998年以降、韓国の対北朝鮮援助は毎年8000億ウォン(約1040億円)を費やしており、200回以上の南北協議を行ったが、金正日総書記は韓国との正常化を避けており、それ以上に閉鎖性を強化した」と指摘した。
朴氏は「共存を先に、統一はその後」を基礎にした太陽政策は、北朝鮮の改革開放を遅らせただけではなく、北朝鮮の独裁体制強化をもたらし、韓国社会の安全保障を悪化させたと指摘し、「核実験を成功させた北朝鮮は、韓国の防衛力を粉砕する準備を固めており、韓国の安全保障は北の核によって人質になった」と強調した。
下馬評で支持率の過半数を獲得した次期大統領候補の李明博氏の認識によると、北朝鮮は経済を開放しさえすれば、海外援助を吸収できるだけでなく、数十年の貧困から脱出できる最良な活路になるという。
*懸念される教育、安全問題
現政権の「左寄り」政策は、さらに教育およびその他の国家政策にも現れた。昨年12月18日の「朝鮮日報」に発表された「日本の教育改革:全教工が支配する韓国の教育現場」という社説では、「韓国教育の主導権は政府から『全教工』へわたってすでに15年が経過した。この間に、4分の1の教師を管轄する『全教工』は韓国の子供たちに対して、親北朝鮮、反米思想を叩き込んでいた」と指摘した。『全教工』は子供たちに対して、兵役と国旗への敬礼を拒否するように教育した。一部の教師らは、「北朝鮮が自主天国」の思想で中学生を洗脳していたという。『全教工』の指導要領では、金総書記の対日闘争を美化し、6・25朝鮮戦争を祖国解放戦争に変え、金総書記の先軍政治の内容を賞賛した内容で満載であった。
北朝鮮が積極的に核実験を行う状況下、盧・政権は米国に対して、有事における米韓協力作戦の指揮権委譲を促したという。前出のギャラップ機構はこれに対して、国民611人へ電話による世論調査を行い、66・3%が「安全保障に不安を感じる。時期尚早、自主行使には反対」と回答している。
*保守本流に方向転換したい大韓民国
「朝鮮日報」評論員の金昌均氏は、そのコラム「大韓民国、新たに保守に転換」を掲載、「親北の沼地」へ一旦陥ってしまうと脱却は難しいと強調した。金氏は、太陽政策は中産階級を貧困階級へ没落させ、これによって出来上がった貧困層は、逆に親北派の「平等社会」のスローガンを信じてしまったと指摘した。親北派は貧富の格差を拡大させ、その格差が親北派政権の栄養剤になったと指摘し、これによって存続した親北派が政権を握る国家は災いにあうと指摘、これが南米各国における政治変化の悪循環形式であると強調した。
金氏は、韓国の親北派メンバーらは南米各国の成功した例にも伍すことがないであろうと強調した。少し前の世論調査では、ハンナラ党・三大候補の支持率が合計75%の結果が出ており、すなわち、4分の3の国民は保守派を支持、保守派政党の中から次期大統領を選び出すだろうと指摘した。
金氏は文章の最後に、「盧大統領政権の成果は、韓国が最短の時間で親北派権勢の危害に対してはっきり認識したことだ」とし、国家および国民全体が身にしみてよく分かったことは、盧大統領政権が残した最大のプレゼントであったと締め括った。