アジアで偽医薬品が氾濫、中国が主な供給源

2007/02/26 更新: 2007/02/26

【大紀元日本2月26日】アジアには偽医薬品が氾濫しており、それによる死亡者は毎年20万人以上に上る。中でも中国は偽医薬品の最大輸出国とされ、各国に輸出した劣悪な偽ブランド医薬品の数は膨大である。専門家は、この問題を解決するには、政府、民間団体および消費者が共同で努力する他に方法はないとの見解を示している。

インターナショナル・ヘラルド・トリビュー紙によると、東南アジアで最近、医薬品の抜き打ち検査の調査結果は、54%のマラリア治療薬が劣悪な偽医薬品であることが明らかになった。世界保健機関(WHO)は、世界でマラリアによって死亡した100万人の中に、20%の患者が真正の医薬品を摂取していれば、死亡は避けられたと発表している。その他に、偽の抗生物質から、結核治療薬、エイズ用治療薬、日本脳炎のワクチンまで1万種類以上の偽医薬品が年間最高20万人の死亡をもたらしたという。

*偽医薬品はアジアの巨大産業に化した

アジア最大手のリスク・マネジメントおよび反劣悪偽造コンサルティングの「衛賢専門パートナー有限公司」執行副総裁で、偽医薬品研究専門家デービッド・フェンニホー氏は、偽医薬品はアジアにおいて、すでに一種の巨大産業に化したと指摘した。同氏は「アジアには各種偽医薬品を製造するメーカーが散在しており、これらの偽医薬品の販売ルートも至る所に存在し、ネット販売から薬局まで入手できる。偽医薬品は数十億米ドル(約数千億円)産業に成長したのだ。偽医薬品は世界的問題であり、アジアがその劣悪偽医薬品の主な産地である」と指摘した。

ラオスの首都ヴィエンチャンの熱帯医学センターで研究を行っているオクスフォード大学のポール・ニュートン医師は「偽医薬品製造者にとって、国際的に製造されているものがマラリアの治療薬であるアルテミシン(artemisinin)だ」として、同医師の研究チームが東南アジアで購入したマラリア治療薬の半分が偽医薬品であり、その内の12種類製品は中国桂林製薬廠の製造であると指摘した。また、ミャンマーの慈善機関が購入した10万錠の医薬品のすべてが偽物であることが分かったという。

中国桂林製薬廠(Guilin Pharma)が製造したアルテミシニン(artemisinin-class combination therapy ) の総合医薬品(FREDERIC J. BROWN/AFP/Getty Images)

インターナショナル・ヘラルド・トリビュー紙は、全世界に行き渡っている偽医薬品の主要な出所の1つが中国であると指摘。これに対して、中国政府は今年2月に、前国家食品薬品監督管理局の鄭筱萸局長が在任中に、収賄および規定を違反し、新薬を認可したかどうかの容疑に対して調査することを公布した。鄭局長は在任中に、認可した新薬が17万種類にも上り、その内の多くは厳しい審査が行われていないと指摘され、それ故、消費者の死亡をもたらしたケースもあるという。

*偽医薬品はネット販売にてアジア全体を流通

前出のフェンニホー氏は「偽医薬品は消費者の健康と安全を脅かし、すでに深刻な問題になっており、毎年数多くの被害者が出ているため、中国は偽医薬品の取締りを厳しく力を入れている。しかし、中国政府は広い国土、体制内の腐敗および犯罪グループの関与などの問題にも直面している」と指摘した。

同氏によれば、中国の偽医薬品の流出防止にとって大きいな障害になっているのが、アジアに行き渡っている密輸ネット・ワークである。その構造は麻薬の密輸、人身またはその他の商品の密輸と似ている。偽医薬品が国境を越えれば、中国はこれらの偽医薬品をコントロールできなくなる。この点からみれば、アジアにおける中国製偽医薬品が氾濫している責任をすべて中国に押し付けるのも不公平だとの意見を示した。

中国官製メディアの報道によると、昨年12月、中国糧食および薬物管理局の鄭暁愈・前主任および2人の部下が、不当に医薬品許可を与えた見返りに収賄をした容疑で逮捕されたという。一方、オハイオ州立大学法学教授で、中国偽造関連専門家デニールC.K.ゾウ氏は、中共当局は医薬品の輸出に対して厳しくしないとの見解を示した。

*問題解決は各方面の努力が必要

フェンニホー氏は、中国側が偽医薬品を厳しく取り締まる措置を取ったため、これまでに中国本土にあった偽医薬品製造工場は、北朝鮮、ミャンマーなど他のアジア国家へ移動したと指摘し、中央アジアも偽医薬品の製造地になっていると明らかにした。同氏は、偽医薬品は地方にとって1つの収入源になるため、一部の政府は偽医薬品製造工場を取り締まる力が不足しているか、または徹底的に行われていないため、偽医薬品および販売者が莫大な利益を獲得ができ、それにより大規模な生産が可能になるなどの原因を分析し、偽医薬品問題の解決は各方面の共同努力が不可欠だと強調した。

また、同氏は「医薬品メーカーは自社商品の専売特許を守らなければならないため、政府は厳しい法規を制定し実施する必要がある。医薬品メーカーは信用の置ける供給先を構築すべきである一方、消費者も信用のおける販売ルートから医薬品を入手すべきだ。決してネットおよびディスカウント・ショップから入手しないこと」と呼びかけた。

インターナショナル・ヘラルド・トリビュー紙は、駐ワシントン中国大使館のスポークスマンの話を引用し、世界に行き渡っている大部分の偽医薬品は中国に由来するかどうかは不明だが、鄭筱萸前国家食品薬品監督管理局局長の逮捕が、中国側は偽医薬品に対する厳しい取締りを表明していることになるとの見解を示した。

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