中国広東省:珠江デルタ地域、労働者不足深刻化

2007/03/02 更新: 2007/03/02

【大紀元日本3月2日】中国の旧正月が終わり、珠江デルタ地域の工場は、稼動するに必要な労働者は戻ってこない「労働者不足」に陥る可能性が高く、工場企業らは労働者を確保できない状況は往年より深刻になるとみられる。一方、各地の出稼ぎ労働者が珠江デルタを離れるのは、賃金面における魅力がないこともあるが、ここ数年間の急速な発展により、広東省当局は相対的な資源を投入し、労働者たちの働く環境・条件を改善しなかったこと、地方からの出稼ぎ労働者を差別する場合の取締り措置も施していなかったことが主な原因であるとみられる。結局、広東省自身が珠江デルタ地域の労働者不足をもたらしたことになった。アジア時報が伝えた。

全国の出稼ぎ労働者を送り出している四大市といわれている安徽省阜陽および成都、鄭州、貴陽の中で、人民日報が阜陽駅の統計を引用し、2月18日から23日の間に合計12万人の出稼ぎ労働者がこの駅から出発したという。その内の6割が上海等長江デルタ地域へ向かい、反対に広東省へ南下した労働者はわずか1・4割で、昨年同期比14%減になっている。この数字から類推すれば、今年の珠江デルタ地域の地方労働者不足がさらに深刻になるとみられる。

これに対して、長江デルタ地域は賃金、仕事の環境条件などの方面において、毎年の改善により珠江デルタ地域を勝ったと言えよう。「水は低いところに流れ、人はより良いところを目指す」のように、出稼ぎ労働者は長江デルタ地域へ流れたのだ。広東省総組合は昨年に中山大学に委託し、広東、浙江、江蘇等地域にいる千人の出稼ぎ労働者に対して、調査を行った結果、「珠江デルタの出稼ぎ労働者の労働時間は長江デルタより長いのに対して賃金が低く、権益侵害された比率が高く、不眠症になり易く、心身ともに疲労感と孤独を感じている」という。

また、調査では、出稼ぎ労働者は自宅を出発してから仕事を見つかるまでにかかる時間および費用について、長江デルタ地域の場合は21日で370元(約5700円)に対して、珠江デルタ地域では29・7日で353元(約5400円)。一方、労働時間について、珠江デルタ地域(9・86時間)は長江デルタ地域(9・01時間)より長いのに対して、月給は256・66元(約4000円)少ないという。

報道によると、珠江デルタ地域は香港とマカオに連接している地理利点があったため、早くから海外資金、海外市場および技術の獲得ができた。さらに中央の特殊政策および全国各地から絶えなかった出稼ぎ労働者を加え、珠江デルタ地域の経済は著しい発展を遂げた。しかし、広東省当局はソフトの面においてさらに広東省の優勢を強化せず、香港の現代化都市管理経験を活かさず、経済発展に伴い政府型からサービス型へ転換せず、政府関係者らの国際的視野の欠如などが原因で、環境は深刻に破壊され、土地は濫用され、人材が確保されなかったなどの問題が多発した。さらに、ここ数年間、広東省当局の悪事が暴露されつつあることから、同省の今後の発展は懸念される。

また、広東省は経済高度成長当時、理想な医療、教育および福利制度を構築し、人材の保護および誘致をし、出稼ぎ労働者の面倒をみなかっただけではなく、出稼ぎ労働者たちに対して、行政政策的な締出し、差別を行ったという。さらに、政府側は企業誘致の過程においても、無原則的に企業に偏り、企業・労働者間の紛糾を公平・公正に仲裁しなかったという。

理論上では、広東省は地方からの出稼ぎ労働者の管理経験は、すでに20数年があり、労働者たちが広東経済への貢献が多大であることも知っており、出稼ぎ労働者の権益を保護する措置を講じるべきであり、企業側が出稼ぎ労働者に対する過度な搾取、作業上の保安対策の不履行を厳しく禁止すべきである。しかし、実際に、広東省政府はその反対に、出稼ぎ労働者に対して損害を被らせ、差別する事件が多発したという。

例として、広東省恵州市にある香港系電池製造工場では、作業保安体制を整備していなかったため、作業員たちは毎日大量の金属カドミウムを体内へ吸入し、カドミウム中毒を引き起こし、女性作業員の新生児が全身灰色で生まれてきた事件が起きた。作業員は労働部門へ抗議したが、何の協力も得られなかったという。広東省政府はさらに企業側に対して、従業員の医療記録および検診報告の改ざんを許し、従業員の賠償抗議の進行を妨げたという。

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