【大紀元日本3月6日】アムネスティ・インターナショナルの報告は、中国の目を見張る経済成長は、1億5千万人とされる出稼ぎ労働者の悪劣な業務、生活条件を代償にして得られたものであるとし、政府に対し、こうした都市の最下層の民衆に何らかの措置を施すよう求めている。英紙「ザ・ガーディアン」がこのほど伝えた。
この、差別、人権に関する指摘は、北京(政府)にとって敏感な時期に行われている。なぜなら、北京は、来年のオリンピックのために自己の国際的イメージを改善しようとしているからである。当局は、既に外国メディアに対する規制を緩和し、全人大において労働改造制度の廃止について議論する準備をしている。
しかし、アムネスティ・インターナショナルが3月1日に発表した報告は、他の被害者に焦点を当てており、法律的地位が不安定であるために雇用主、警察及び地方官員に利用・搾取されることから、大量の民衆が、中国経済社会の成果を享受できていないことを指摘している。
貧しい農村から繁栄した都市に職探しにやってきた出稼ぎ労働者は、必要な保健衛生福利が得られない。賃金の支払いを何か月も遅延されるほか、危険かつ不健康な条件の下で、体を酷使して働いている。
アムネスティ・インターナショナルアジア太平洋地区副主任のキャサリン・ベイバーによると、いわゆる中国経済の「奇跡」とは、恐るべき人間性の代償と引き換えにして得られたものであり、都市で生活する出稼ぎ労働者は、その労働に際して恐ろしい迫害を受けている。
報告によると、中国は現在、平和的時期における、世界で最も規模が大きい人口移動期にあるという。80年代以来、出稼ぎ労働者は当初の200万人から1億5千万~2億人へと激増した。多くの都市、特に繁栄した珠海デルタでは、出稼ぎ労働者が人口の主要部分を形成している。しかし、大多数の労働者は住居、教育、医療保険といった面で十分な権利を有していない。なぜなら、彼らは一時的に居住する人口として登記されているにすぎず、その多くが違法就労していることから、彼らの雇用主に意見を述べることが困難なためである。
アムネスティ・インターナショナルによると、中国南方の工場の労働者は、週7日、毎日12時間以上働き、毎月1日しか休むことができない。21歳の張さんは、4年間で9社の工場で働いていたが、一部の同僚は過労で倒れていたと語っている。
出稼ぎ労働者の生活条件は劣悪であり、保険衛生福利は非常に少なく、ひいては全くない。このため、軽い負傷、疾病でも彼らは経済的に破産してしまう。報告によると、一部の労働者は、医療費を支払うことができないために、自分で手術をしているという。また、彼らの子女2千万人が農村の親戚のもとに残されていることから、彼らにとって高い学費も負担となっているという。