【大紀元日本3月17日】中国政治協商会議歴史文献・学習委員会の劉楓・副主任は、このほど京杭大運河は消滅の危機に直面していると再び警告を発した。
中国国営メディア・新華社の報道によると、万里の長城と同様に奇跡の大建設と言われている京杭大運河は、山東省済寧市より北部の流域の河床が深刻に汚染され、運河の使用は基本的に不可能になっている。一方、済寧市より南の流域においては、運河の使用は未だに頻繁に行われているものの、「破壊性建設」によって、同様に深刻な汚染状況になっているという。
前出の劉楓・副主任は「これらの問題を重視しなければ、京杭大運河は継続的に破壊され、消滅の道を辿ってしまう」と警告した。
報道によると、大運河流域の風景は沿岸都市の発展によって変わりつつあり、沿岸都市それぞれが持っている地方の伝統的な演劇、舞踊、民族慣習等の地方文化も萎縮しつつあるとし、大運河の生存状態は決して楽観的ではないとしている。歴史的文化遺産として、真実性および完全性はすでに消失しており、運河両岸の無形の文化遺産も徐々に消滅しているという。
京杭大運河は世界中で、最大規模かつ最長の運河として最古のものであり、紀元前5世紀の春秋時代に建築されたもので、2度にわたり最開発され、南北延べ1794キロメートルへ拡大され、河海、黄河、ファイ河、長江、銭塘江の5大水系を通じ、8つの省、18の大中型都市と連結している。
全国重要文物として保護されている文化遺産が105箇所も京杭大運河流域に散在していることから、2006年5月に「全国重要保護文物」に指定された。実際、中国の関係部門は、さらに京杭大運河を世界文化遺産に登録するよう動いているという。中国国内で世界文化遺産として申請する対象の中で、京杭大運河がもっとも広域に渡っており、最大規模である。
しかし、経済発展と文物保護の矛盾は解消しておらず、多くの問題が日増しに深刻になっている状況がある。これに対して、2006年、全国政治協商会議の58人の委員は連名で、京杭大運河に対して緊急保護措置を施すよう呼びかけた。同年5月、200人あまりの政協委員、地方政府関係者および専門家らが同大運河を全面視察している。