何清漣:温家宝の政治改革は単なる行政改革

2007/03/23 更新: 2007/03/23

【大紀元日本3月23日】中国の温家宝首相は、政治体制の改革を推進することで腐敗を防止することを呼びかけた。彼は、中国において日増しに深まっていく腐敗の現象は、権力の集中及び官僚に対する民衆の監督欠如によってもたらされたものであると語っている。この点について、評論家・何清漣氏は、温家宝の語る政治体制改革とはせいぜい行政改革に過ぎず、実質的な政治改革にはほど遠いと分析した。VOAが伝えた。

温家宝:制度から反腐敗に着手

温家宝首相は16日(金曜日)、中国全人大第五次会議の記者会見で、反腐敗に関する質問を受けた際、中国における市場経済の発展に伴い、腐敗の現象が不断に発生しており、しかも、これがますます深刻になっており、ひいては高級幹部にまで及んでいることを認めた。

温首相によると、この問題を解決するためには、先ず制度の見直しから着手すべきであるという。腐敗をもたらした原因は多岐に渡るが、このうち最も重要なのは、権力が過度に集中するとともに、これが有効な制約、監督を受けていないことであり、これには、関連する制度の改革が必要であるという。彼は、政府部門が大量の行政資源と許認可権を掌握しており、これが、権利と金銭の取引、私利のための権力行使、官・財の癒着を生む土壌になっていると語っている。

何清漣:真の目的は権力を中央に回収すること

在米の評論家である何清漣氏は、VOAの取材に対し、温首相のいう制度改革とは、主として地方政府と中央部の権力の一部、及び国有企業の利益分配に係る権力を中央に回収することを指していると語っている。同氏によると、中国政府は昨年、まさにこの手法をとっていたという。

「過去において、土地に関する許認可権は地方政府にあり、土地譲渡税もまた、中央に上納することはなかった。このため、国土資源部はいち早く改革に乗り出した。国有企業が得た5000億元の利益は流れをせき止められ、中央に上納することを求められた。温首相が提起した改革とはこのような改革で、政府が資源配分の権限を掌握すべきでない、ということではなく、地方政府や中央の部門が掌握していた権力を、上級政府のもとに回収しようとしている」。

温家宝:政治改革を推進

温首相はまた、腐敗を根絶するための第二の措置が、政治体制改革を推進し、権力の過度な集中を抑え、人民の政府に対する監督を強化すると述べている。今後、許認可に係る事項、特に民主の利益に関ることは全て公開、公正、透明が求められるという。腐敗分子に対しては、領域、人、地位を問わず、法に従って厳正に対処するという。

何清漣:行政改革は政治改革ではない

何清漣氏は、温家宝が政治体制の改革を行うとは全く考えていないとみている。なぜなら、温首相は、最近の文章で、中国は、_deng_小平が提起した社会主義初期段階の基本路線を堅持し、今後100年間動揺させてはならないと述べているからである。このことは、温首相のいう政治体制改革とは、皆が期待する政治体制改革とは全く別のものであることを示している。

何氏の指摘によると、長年来、中国政府は、機構をわずかにいじっただけでこれを政治体制の改革と言い立てている。何氏は、今回の措置も行政改革に過ぎないと考えており、政治体制の改革の核心は、政府の合法性の問題を解決することであり、また、民選による政府を作ることにあると指摘した。

「政治体制の改革が、権力の根源に係る合法性の問題に及ばなければ、全ての体制改革は政治体制の改革とは呼べず、単なる行政改革でしかありえません」。

毎回外れる予想

何氏によると、海外メディアは近年、中国が改革を進めるとの報道を数多く行ってきたが、結果的に、予想は全て外れた。例えば、一部メディアは当初、中国がメディア改革を行うと報道したが、後に、中国のメディア統制はますます強まっていった。この措置には、中国駐在の外国通信社の原稿も審査を受けなければならないことや、記者会見における温首相への質問さえも事前に決めておかなければならないこと、質問する人もまた事前に決定しておかなければならないことが含まれる。このため、共産党政府に対しては、その言を聞くだけではだめで、必ずその行動を確かめなければならないと何氏は言う。

「共産党を見るに際しては、彼らが何を言うかではなく、彼らが何をするのかを見なくてはなりません。特に、彼らがかつて実現を誓い、しばらくして何の動きもないような事例を分析すれば、彼らが今日誓ったことをどの程度実行するつもりで、実際にどれだけ実現できるのかが分かるでしょう」。

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