【大紀元日本4月4日】中国内外から注目された四川省重慶市の「釘子戸(しっかりと釘付けられて動かない喩え)」は4月2日の夜10時40分に、掘削機のエンジン音がとどろく中、ついに取り壊された。新華社の報道によると、家主の楊武さんおよび呉蘋さん夫妻は、2日午後に不動産業者との協議に合意し和解したとし、楊さん夫妻は他所の新な家屋を受入れることにしたという。しかし、一部の民衆は、楊さん夫妻が真に和解できたかどうかを疑問視しており、2人に真相を話すよう呼びかけた者もいるという。
地元の情報筋によると、4月2日午後7時半ごろに、現場にいた交通警察、パトロール警察は、メディア関係者に対して、現場への立ち入りは許可が必要とし立ち入りを厳しく制限した。一方、楊武さんは2日同4時半に現場を離れたという。同10時39分ころに、「重慶釘子戸」が大きい音を立てながら倒壊した。これで、重慶市楊家坪鶴における道路建設と旧城改造工事に絡む立ち退き騒動が一段落ついたとみられる。
「史上最も頑固な釘子戸」がまるで海の中に佇む孤島のように写された写真は、今年2月16日にインターネット掲示板などに掲載されたことから注目され始めた。同3月初旬、この写真はネット上で広範囲にわたり伝えられ、ネット利用者の間では「最も頑固な釘子戸」といわれ、ついに中国民衆が「強権」「不合理な強制的立ち退き」に抵抗する象徴となった。楊さん夫妻の219平方メートルの家屋は営業用のもので、強制的立ち退きに対して、当局が提出した条件は生活の保障にならないことから、立ち退きを拒否した。
ビデオ:「史上最も頑固な釘子戸」が取り壊された
3月8日、「南方都市報」は初めて記事にし報道したのち、大陸各メディアも相次いで報道した。最終的に、国内外の各メディア関係者が重慶市にまで取材に駆けつけたほど、楊さん夫妻は追跡報道の焦点人物となった。海外の一部のメディアは、「最も頑固な釘子戸」をどう善処するかによって、少し前に採択されたばかりの「物権法」に対して、中国当局がしっかり対応できるかどうかを試されるものになったとの意見を示した。
楊さん夫妻は立ち退きに抵抗していた間に、不動産業者は裁判所へ強制的に立ち退きする許可を申請し、これに対して、九龍坂区裁判所は楊さん夫妻へ3月22日までに家屋を取り壊すことを命じ、3月29日までに立ち退きを命じたが、楊さん夫妻は期間が過ぎても出て行かず、4月1日に至っても、相変わらずこの「孤島」で奮戦した。
プロパンガスを吊り上げた楊さん(China Photos/Getty Images)
旗と横断幕(自己の財産を守る)を掲げた楊さん(China Photos/Getty Images)
取り壊される前の「釘子戸」はまさに孤島のよう(China Photos/Getty Images)
政府当局はこの「最も頑固な釘子戸」を立ち退かせることがなかなかできない理由はなにか。情報筋によると、妻の呉蘋さんの実家では、政府高官を務める人物がおり、また、弁護士を務めている親戚もいて、不動産業者と政府当局は公に強引に家屋を取り壊せなかったという。そうでなければ、一般人の家なら、早くも取り壊されているのだという。それでも、中共当局は不動産業者を唆し、楊さんの家屋周辺の基礎工事を行わせ、深さ17~18メートルを掘り下げ、道路へ通じる道を断たせ、水道・電気・ガスも断たせた。中国共産党はこれだけでも、公民の合法的な権益を深刻に侵害していると民衆に指摘された。
3月31日午前、重慶市九龍坂区政府が記者会見を開き、メディアに対して「釘子戸」の関連報道は一切禁止することにし、14人の保安警察が唯一の出入り口を塞いだ。さらに、中国共産党国務院新聞弁公室は数日前に「網易」「新浪」などの主要ネットサイトに対して、「釘子戸」に関連文章と報道を削除し、各ブログもそれと関連する討論内容を削除する通知を下達した。
しかし、「釘子戸」は依然として民衆およびネット利用者たちの支持を得ており、呉蘋さんがよく足を運んだ店のオーナーは、99%の民衆が楊さん夫妻を支持するとし、政府は不動産業者とそもそも「官民結託」であるからだという。
香港誌「アジア週刊」の最新号では、重慶市の「最も頑固な釘子戸」を取り上げ、中国社会で、個人財産と事情を知る権利を守り発展させる過程での一里塚であり、釘子戸事件は全人大で採択された「物権法」を試す試金石であり、胡・温両氏が提唱する「公平・正義」の理念が試されるの
(Photo by China Photos/Getty Images)
(ネット公開写真)
であろうと報道した。