中共崩壊後の中国に、モラル基盤を作った法輪功=社会学者

2007/05/13 更新: 2007/05/13

【大紀元日本5月13日】世界法輪功学習者が法輪功の伝出を祝う世界法輪大法日(5月13日)を控え、ドイツ在住の著名社会学者、全体主義研究専門家・仲維光氏はこのほど、弊紙の取材を受け、法輪功が中国社会に与える影響について、「幾千万人もいる法輪功学習者はモラルと信念を再建し、共産党崩壊後の自由かつ平和な中国社会の土台を用意した」と語った。

1999年に中国本土で当局に弾圧されたことをきっかけに名が世界に知られ始めた気功「法輪功」はこの8年間、平和的手段で中共当局の迫害に耐えながら、世界で広まりつつ、世の注目を浴びている。仲氏が勤める思想と文化の自由を提唱する「中国自由文化運動」委員会が今年4月に、ニュージーランドで法輪功団体に2007年度精神信仰特別賞を授与した。この授賞と、法輪功が中国社会に与える影響について、仲氏は次のように語った。

全体主義の独裁体制下、東洋精神の復活への闘い

私は1999年4月、気功「法輪功」は北京の中南海(中共高層の所在地)で陳情をしたニュースをドイツのテレビで知った。その3ヵ月後、中国で法輪功を弾圧する事件が起きた。

その時、私はちょうど全体主義(Totalitarianism*)を研究していた。全体主義の特徴は▽伝統に全面的に反する▽近代の自由、民主と人権を代表する一切の文明に反するという。東ヨーロッパの社会では、伝統文化は絶えず共産党専制に抵抗してきた。中国社会では共産党が1949年に政権を握って以来、中国の民衆と中国の伝統文化に対して気が狂ったように破壊活動を展開したが、伝統文化はなぜ抵抗しようともしないのかと私はずっと疑問を抱いていた。

中国共産党が伝統文化を破壊した最も典型的な運動は、「文化大革命」である。当局は80年代に90年代を迎えたら伝統を推進すると言ったが、実際にやはり伝統の真髄を破壊したに過ぎない。ではポーランドのカトリック教会のような伝統文化および東ヨーロッパの知識人に見られた共産党独裁に抵抗する現象は、なぜ中国社会では見られないのか。その問題を考えた時、ちょうど法輪功の事件が中国で起きた。しばらく法輪功について観察と思考を続けると、法輪功現象は、実は共産党が統治した中国で、全体主義と中国の伝統が代表する東洋精神との間に起きた戦いであり、東洋精神が復活する前の受難であることに気づいた。1999年末に、BBCのある番組で、出席した三人の中国人知識人のうち、私は海外の中国人知識人の代表として、先の私の観点を話した、つまり、法輪功は、中国伝統のルネサンスなのだ。

2001年、私は法輪功創始者・李洪志先生の本を手に入れた。李先生の思想はすべて中国伝統に根ざしだと感じた。これらの著作の中、李先生が西洋文明の内容も加え、その伝統的な考えも一部訂正したが、もっとも肝心な内容はやはり中国の伝統である。

共産党を滅ぼすのは法輪功しかない

「楚雖三戸,亡秦必楚」(楚国には三家系しかないが、秦を滅ぼすのは必ず楚である)との言い方があるが、最近わたしはこの言葉を深く実感した。つまり、共産党を滅ぼすのは法輪功しかない。それは必ずしも法輪功自身が共産党を滅ぼしたいからではなく、法輪功は広範囲の民意を有する中国伝統文化の真髄、つまり「神から伝えられた文化」を代表するからである。

法輪功がアピールする「真・善・忍」の原則は、典型的な中国の伝統精神である。私は法輪功学習者との触れ合うなか、法輪功のウェブサイトで、現在中国大陸の中国人が失った伝統的な美徳を発見した。もっとも驚くことは、そのウェブサイトには、中国昔の「二十四孝」が載せてあり、つまり、昔の孝の美徳を大事にしているのだ。

2000年から、私はドイツにいる多くの法輪功学習者と触れあい始めた。中には高レベルの教養のある人が多く、しかも人間性が非常に優れている点に私は感心した。特に、彼らが名利のために働くのではなく、 お互いにトラブルがあっても対立になることはない。

法輪功が強調する内に向かって修めることは、中国の伝統的知識人に要求される「内省」することである。たとえば孔子が言った「吾日に三たび吾が身を省みる」こと。今中国が行っているいわゆる経済改革は、何も顧みない改革である。金儲けのため、いかなる手段にも訴える。中国社会は現在すでに道徳が乱れ、モラルが崩壊した時代に入った。この時代の中、法輪功学習者が持っている純正の品質、家庭と伝統を大事にする、名利追求せず働くなどこれらの美徳は、非常に貴重なものになっているのだ。

法輪功が秘密の組織であると思っている人がいるが、私も以前そう思っていた。彼らが活動をする時は、なぜいきなり多くの人が集まるのか。今の社会は、利益のないことをやる人はほとんどない。しかし、法輪功学習者がお金を出し合い、協力して活動に参加し法輪功への迫害を中止するよう呼びかけている。彼らのモチベーションはどこから来るのか?彼らとの触れ合いを通して、私は少しずつ、彼らが重視する「真・善・忍」の原則が彼らに力の源なのだと分かった。

「共産党文化」を解体する法輪功

私たち一部の海外中国知識人により昨年11月、「中国自由文化運動」が創立された。創立式で、私は、我々がここでこの一歩を踏み出したのは、法輪功学習者に感謝すべきであると話した。なぜ私がそう話したのか。2003年から、法輪功学習者、特に彼らが運営する大紀元時報が『九評共産党』を出版して以来、中国の知識人に、共産党文化から脱出し、自由精神の新文化を推進させるのによい土台を作ったのだ。

私たち中国大陸で育った中国人は、小さいころから共産党の特有な文化で洗脳されたため、海外の人々と比べて特別な思考方式と言葉上の慣習を持っている。例えば、大陸にいた時、「共産党、我が母」「偉大な共産党、高い山のような存在」などの歌をよく耳にしたから、共産党宣伝に常用される空虚な表現も無意識のうちに身に着けた。我々中国大陸出身の中国人は自分が持っているこの共産党文化に気づいておらず、共産党が宣伝する無神論とか、唯物論とかのように当たり前の価値観として考えている。

私は自分が持っているこのような空虚な言葉と思考、人間性に反するメンタリティーを30年前に気づき始めたが、法輪功学習者らは、このような共産党思想意識からきた価値観と習慣を「(共産)党文化」と呼び、今の大陸中国人が持っている文化要素の一つとしてはじめて認識し、自ら取り除き、この共産党文化を解体しようとしている。その解体の過程で、彼らは中国社会に新しい文化と倫理道徳の誕生を推進させている。

自由精神への追求において、法輪功学習者らはすでに自らを犠牲にして中国の歴史、更に人類の歴史に大いなる貢献を果たした。このため、我々「中国自由文化運動」委員会は今年4月に、中国知識人の代表として法輪功団体に2007年度精神信仰特別賞を授与し、法輪功学習者に対するわれわれの敬意とわれわれ中国知識人が自由な精神を追求する決意を表明した。

この授賞式で、我々自由文化運動委員会は、法輪功創始者の李先生から、「神に伝えられた文化」という書写をいただいた。この言葉は、我々自由文化運動委員会および中国知識人にインスピレーションを与えていると私は思っている。過去半世紀の間、中国知識人は中国の伝統に宗教がないと思っていたが、この言葉により中国伝統文化は神が伝えた文化と認識できたのである。

20世紀初めに中国知識人がスタートした「五四」新文化運動後、中国の知識人は基本的に伝統に反する道で歩んできた。李洪志先生がお書きになったこの言葉および法輪功学習者が信仰と自由精神に対する追求は、私にとっては、伝統に反する知識人に反省するチャンスを与えてくれた。

法輪功は、共産党崩壊後の中国社会に、モラル基盤を用意した

1999年中国共産党当局が法輪功を迫害し始めた際、中国内外で法輪功に対する誤解と偏見が蔓延した。海外のメディアも法輪功についてよく分かっていないため、中共側が法輪功を誹謗中傷するため使った用語「邪教」を引用していた。8年後の現在、私たちが見ているように、法輪功は世界で速やかに広まり、特に西洋社会での影響力も上昇している。

中国本土ではもちろん、法輪功は未だに共産党当局の迫害を受けている。それにもかかわらず、幾千万人が依然として法輪功を修煉し、法輪功の真相伝え活動に関わっている。そのような背景がありながら、中華伝統文化の美徳が中国社会に浸透し始め、海外中国人からも高い評価を受けている。中共当局による法輪功への弾圧はすでに失敗だと言える。法輪功の精神は中国伝統文化に根ざしているので、中国大陸で必ず生き続け、発展していく。

特に重要なのは、法輪功学習者がすでに今の中国社会で失われつつある道徳信念を再建しているため、共産党崩壊後の中国社会に、堅実な土台を用意したことである。これにより、共産党が崩壊後、中国社会は大きな混乱が起きないと私は思っている。共産党崩壊後、法輪功が自由かつ平和な中国社会にあらゆる面で更なる良い影響を与えると信じており、期待している。

*全体主義(Totalitarianism)民衆一人一人の自由、権利を無視しても国家の利益、全体の利益が優先される政治原理、また、その原理からなされる主張のこと。代表的な体制および思想は、左派のフランス革命、マルクス主義、ロシアの共産主義と中国の共産党主義、および右派のファシズム、軍国主義、ナショナリズムなど。

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