【大紀元日本6月3日】上海市地下鉄建設執行当局はこのほど、「市政項目」の名目で、上海の一等地を広範囲にわたり立ち退き地域に指定し、地域内の企業に対して立ち退きを強要した。上海当局はさらに、立ち退きに対する補償金額は、秘密裏に資産評価を行ったという。これによって、上海の繁華街・南京東路に店舗を構えている「天福茗茶」は数億円の損失を被ったという。
「天福茗茶」ブランドで中国全国に名を馳せた台湾企業の天福企業グループは、立ち退き地域とされた上海・南京東路地下鉄建設用地(約2・6ヘクタール)に上海支店を構えているが、この上海市政府の地下鉄建設のために、いわゆる「ドル箱」店舗を失った。203平方メートルを有する天福グループの上海支店は、法律上では全財産権を同企業が所有しているはずだが、権力を乱用し汚職が蔓延している政府高官らを前にしては、せいぜい「物権法」を主張することしかできないという。
一方、仲裁する当局不動産管理局関係者は、協調会召集を開始してから、立ち退き補償に関する土地評価において、政府当局へ全面的に協力し、地価の3分の1の金額で補償することに決定したという。また、すべての権益損失に対する訴えの一環も、政府当局が掌握しているという。
*「敵を知り、己を知らば、百戦危うからず」
近年、ますます多くの台湾企業が対大陸投資を行っている。しかし、直面したのは、法律を無視した各級中国共産党(中共)政府職員である。台湾最大野党・国民党前主席・連戦氏は、台湾企業に対して、対大陸投資を勧めているが、台湾企業が不利益を被ったとしても、有効な手段がないのが現状だ。
対中国投資台湾企業被害者協会の高為邦・理事長によると、報告された事例の中で、中国で騙され、陥れられた台湾企業が救済された事例はほとんどないと言っていいほど少ない。陥れられた一部の台湾企業は各方面に訴えを試みたが、結局は投獄されるか殺害される羽目になったという。
高理事長は、中共はこれまでも法治的な政府ではなく、以前はイデオロギーと暴力で国を治めていたが、現在も変わりはなく、依然として嘘と暴力で国を治めていることから、「台湾同胞投資保護法」を「台湾同胞投資誘惑法」に改名すべきだと揶揄した。高理事長は、中共の法律執行関係者は常に正しく、民衆および投資家は常に敗者であるとの見解を示した。何故なら、中共の法律および裁判所は、政府または執政者に対してのみ味方にならないからだと強調した。
高理事長は、中共に対していまだに幻想を抱いている台湾投資家がもしいれば、理事長が著した「対中国投資、前もって知るべき落とし穴」を読むことを勧めているという。高理事長は、中共のような独裁政府において、行政権が重視される状況下、権力乱用は深刻であると指摘した。また、投資環境をはっきりと見極めることは投資する前に、最も重要なことであるとし、中共側の宣伝に騙されないよう、呼びかけた。高理事長は、命がけの商売をやる人もいるが、投資リスクの所在を知るべきであるとし、いわゆる「敵を知り、己を知らば、百戦危うからず」を強調した。