【大紀元日本6月7日】日本への入国を拒否されていた米国在住の中国人民主活動家・魏京生氏は6日夜、病気治療のため、「緊急入国」(72時間)の許可を得て、東京都内の友人宅に到着した。魏京生氏本人は、「(入国審査の)全過程は、日本の民主国家としての基準に外れているが、最終的にこのような挽回措置が取られたのは、中国共産党政権や、親中派が民意を得ていない現状を反映している」とコメントした。一方、東京入管は「健康に配慮した人道上の措置」と説明、必要な治療が終わり次第出国するよう求めているという。
魏京生氏は糖尿病や、心臓病を患っているため、成田の病院で血液検査を含め健康診断を受けた。入国が許可された同氏は、6日夜、都内の友人宅に到着した。大紀元の取材を受ける際に、魏京生氏は支援者に対し、「病院の検査結果があまり芳しくないが、いまは、友人宅に落ち着いて休息が取れて、飲食も正常に戻ったため、心配しなくても大丈夫」と話した。
結果的に入国できたことについて、魏京生氏は、「これは合理的な決定」と表しながら、「全過程が民主国家としての基準から脱している。入国拒否されていたことは、まるで中国当局にコントロールされているようで、政治的な拘束に属するのではないか」と話した。また、現場で対応した職員について、魏京生氏は、「彼らには非がない、政治的な命令に従っているだけだ」と理解の気持ちを示した。
魏京生氏によると、空港に留まっている期間中には、多くの人からサインを求められ、中には彼の写真を持って、直筆サインを求める空港スタッフもいたという。
魏京生氏は最終的に日本に入国できたことについて、「日本の民衆の民主意識が中国共産党や、日本の親中派政治家の予想を超えている。彼らの背後からの指令は想像以上に民意を得ていない」と述べた。
また、同氏は、「全過程を通して、日本の政界において、地位が非常に高く、強い勢力を保っている政界関係者が中国共産党に操られているのを感じた。それでも、やはり、日本は自由・民主の国であるため、その最終的な決定は、民主国家の姿勢を保った」と表した。
今回、「6・4天安門事件」18周年の記念日の期間中に、日本への入国が拒否されたことについて、魏京生氏は、「中国当局のこのやり方は、あえて、皆さんに天安門事件の18周年の到来を強調してしまい、国際社会の関心を呼び寄せた。結果、今年の追悼活動は例年より影響が遥かに強い、効果が遥かに大きい。中国共産党はいつも石を持ち上げて、自分の足に落とす。その愚かさが今度の出来事で再度証明された」と語った。
6月7日午後に、魏京生氏は弁護士に会い、今回の入国の関連問題について、相談したもよう。法的措置を取るかどうかとの質問について、同氏は微笑みながら、「まだ決まっていないが、これも日本の司法体制を試す一つの方法であるかもしれない」と話した。
日本で短期滞在するかどうかについて、同氏は、現時点の計画では、8日中に米国に帰国すると明かした。
一方、米国の「魏京生基金会」の執行主任・黄慈萍氏は電話取材で、「日本政府は正しい決定を下した」と述べた。
日本入国管理法には、乗り継ぎ地などで72時間以内なら指定された地区を訪問できる「寄港地上陸許可」という制度があるため、魏氏はこの制度を利用し、2日に日本に入国し、3日夜に都内で開かれた「天安門事件」18周年を偲ぶ集会で講演を行い、5日に成田を出発するグアム行き航空機に乗る予定だった。
魏京生氏は、「中国の民主の父」「中国のマンデラ」と知られ、ノーベル平和賞の候補に何度も挙げられ、中国民主化運動のシンボル的存在である。
1973年から北京大学で歴史を学び、1978年、「北京の春」)の主導者の1人となり、雑誌『探索』を編集。壁新聞で_deng_小平の改革路線を批判、民主化を提唱。これらの活動が中国共産党を刺激し、翌年3月29日に逮捕された。10月16日軍事情報漏洩罪・反革命煽動罪として懲役15年の刑に処され、1993年に仮釈放されるまで14年半もの間、服役する。
仮出所後は外国要人・メディアとの会談などで、積極的に中国の政治や天安門事件、人権問題などを批判したため、再び中国共産党から睨まれ、1994年4月に再逮捕された。翌年12月政府転覆陰謀罪により再び懲役14年の判決を受ける。その後、獄中の拷問などにより重病となり、アムネスティ・インターナショナルなどの人権団体や外国メディアから釈放要求が高まったため、1997年11月16日、病気療養を名目として再び仮釈放され、米国に渡った。
2006年10月下旬に実現した日本訪問では、国会で超党派の議員らと懇談した。席上、魏京生氏は監禁中の体験を語り、他の囚人や刑務官の証言を引用、当時から中国の監獄施設で、生きている囚人の臓器強制摘出が行われていたことを明らかに、また、中国共産党員を含め中国人はすでに中国共産党を信用しておらず、中国共産党(中共)政権は今にも崩壊する可能性があると述べた。また、魏京生氏は、北朝鮮の核実験は中国当局が企て、操縦している問題であると指摘し、中国当局と北朝鮮の核ゲームを阻止ためには、アジア民主主導国家である日本が尽力する以外にないと訴えた。