【大紀元日本6月10日】6月4日、中国は有史以来初の地球温暖化に対する全面戦略を発布した。名義上、この戦略の目的は、資源の節約と温暖化抑制に対するものであるが、削減目標は強制的なものではなく、更に排気量削減のタイム・テーブルもない。
報道によると、中国国家発展改革委員会経済計画部の責任者・馬凱氏は「我々の総括的な原則は、中国はいかなる削減目標量も承認できないとする」と話している。計画部は62項目の報告に、田畑を林に戻したデータや教育執行改進措置などの方面の資料を盛り込んだ多くの統計表と数字的根拠を載せている。しかし事実上、この戦略は中国の排出削減目標量は中国にとって不公平とする強硬な立場を繰り返すだけである。相変わらず中国は途上国に属しているが、エネルギー浪費と使用効率の低下から温暖化ガス排出と環境汚染が深刻な国々の上位に名前が並んでいる。
計画によれば、中国は、2009年か2010年ごろには米国を追越し世界一の温暖化ガス排出国大国となると言われているが、国際エネルギー組織(IEA)は異なる見解を持ち、中国はすでに世界中で最も温暖化ガスを排出している国と考えている。IEAは、もし中国がこの温暖化ガスの排出量増加のスピードを抑制しなければ、25年以内に中国のガス放出量は先進国の総排出量の3倍に達し、環境に与える影響は多大であると指摘した。
今週、胡錦涛国家主席はドイツで開かれたG8による8カ国首脳会議に参加した。会議には温暖化対策の課題も含まれていた。前回、米ブッシュ大統領の提出した地球温暖化防止の新しい枠組みには、中国を含む15の主要排出国が挙げられていた。この枠組みを作った国が温暖化ガス削減の長期計画を制定し、同時に全世界の削減目標を制定する。馬氏は、ブッシュ大統領の提出した案はポスト京都議定書にはならず、ただの補足にすぎないと指摘し、京都議定書はただ先進国に対し排出を制限しているだけで中国とインドを含めた途上国の義務を免除していると話している。米国もこの2国が枠組みに加わらなければ温暖化抑制の効果は上げられないという見解を示している。これらの事から京都議定書には重大な欠落部分があることは明らかであり、新しい取り決めが必須となる。
「中国は排出大国」という意見に対し、馬氏は「歴史的に見て、中国はほんの一部分の温室ガスを作ってきたにすぎない。さらに中国で1人当たりが放出している温暖化ガスは米国の5分の1だ」と説明している。しかし、揺るがすことが出来ない事実として、中国の人口は米国の6倍近いことが挙げられる。世界温暖化の予測が中国にとって大きな打撃になり、海面上昇やチベット氷河の消失、深刻な砂漠化などのこれらの警告だけでは、中国が自国と世界の国々に対し責任を持つ政権に変わるためにはまだ足りないようだ。