【大紀元日本6月11日】深セン海域で先週、今年最大の赤潮が発生した。専門家は珠江デルタの環境汚染と赤潮の問題の関連性を指摘している。米国VOAが報じた。
深セン湾付近の海水が5日、広範囲にわたり変色した。深セン海洋漁業環境試験センターはこの海域が環沟藻赤潮の汚染を受けていると伝えた。赤潮による汚染面積は6日、50平方キロメートルに達した。
深セン海洋漁業環境測定所の周凱博士によれば、赤潮は一種の自然現象であり、過去9年間で深圳沿岸海域では3回発生している。今回は今年最大の赤潮ではあるが、今のところこれといった影響はないということだ。「我々は毒素の測定を行ってはいない、しかし赤潮の中には何種類かの藻が見られるので問題がないとは言い切れない。水中の検査も行っていないが、ここには養殖場がなく、また休漁期なので魚の捕獲は行われていないことから水産品市場の安全は間違いないと言えるだろう」
しかし周博士は環沟藻赤潮は毒素を作り出す可能性があり、この海域での遊泳や釣りはしないよう忠告している。事実、深圳海域の赤潮は飲用水の水源にも干渉せず、6~8月の休漁期に発生するため、先日の太湖の汚染問題のように付近の住民の生活を脅かすものではない。同測定所職員も住民から魚やカニが死んでいるという知らせは来ていないと話している。
しかしながら、香港はこの赤潮のために大変な注目を集めている。海水は濁り、泡が湧き上がり続け、たった3日間で13ヶ所の海水浴場が閉鎖された。また、漁師たちも養殖業への影響を心配している。
香港と深センの赤潮は原因が別か
中国のある海洋専門家は香港の今回の赤潮と深センの赤潮は無関係と話した。しかし香港中文大学生物学教授・伍澤賡氏は香港と深圳の海水はつながっており、水中の汚染物と養分も混ざり合っている。赤潮は風向きと水の流れる方向にも関係しているので香港と深センの赤潮が無関係とは考えにくいと話している。
伍教授は珠江デルタの汚染が赤潮を発生させる原因と考え「中国大陸で使用される化学肥料が大雨の時に流れ出し、河から海へ流れ込む。これが藻類の養分になってしまうことが原因の一つだ」と話す。
南中国海赤潮学会主席・何建宗教授が香港メディアの取材時、今回香港に現れた赤潮は、場所と過去に発生した赤潮は別の原因であり、香港が珠江デルタの汚染から受ける影響は日に日に深刻化していると指摘した。
珠江デルタの環境悪化を防ぐ
珠江デルタでは近年人口が急増したにもかかわらず汚水処理施設の整備が遅れている。これ以外にも沿岸一帯での土地開発が続き土砂の流失が深刻なことと農業で使用される化学肥料と土壌が河へ流れ出る問題があり、これら全てが南中国へ流れ込むため生態への影響問題が加速していると何教授は分析、香港は大陸と合同で速やかに海水浄化計画を進め、共に珠江デルタの環境悪化防止に努めるべきだ。とし、もし香港政府が何の行動も起こさずにいれば、10年目の赤潮災害も起こりうるだろうと強調した。
ある海洋専門家は「現在、世界中ではまだ赤潮に対する有効な対策法が発見されていないため自然に消えるのを待つしかない。深圳の赤潮も数日の内に消えるだろう」と話した。