【大紀元日本6月15日】米カリフォルニアに本部を置くヤフーは6月11日、中国当局に対し、インターネットで個人の政治意見を発表した人たちを懲罰すべきではないと言う声明を発表した。一方、その前日、ヤフーが中国当局へ個人情報を提供したため、当局に入獄させられた記者・師濤氏(38)の母親・高琴声さんが国際社会に対して、ヤフーを懲罰するように呼びかけたばかりだった。高さんは、ヤフーの声明はメディアに対して、自社の責任を言い逃れるパフォーマンスであるとし、ヤフーの言動は被害者にどれほどの危害を与えたかについて「まったく反省の色がない」と非難した。
BBCによると、ヤフーはAP通信社へ送った声明の中で、「国際社会が認めている言論の自由に対して、懲罰を行うことに抗議する」と示したが、師濤氏のことには一切触れなかったという。湖南省「当代商報」記者の師濤氏は2004年、「六四天安門事件」15周年について中国当局が通達した報道禁止令を海外の民主運動団体宛に送ったことを理由に、国家機密漏洩の罪で10年の刑を言い渡された。ヤフーは師濤氏の個人情報を中国の公安に提出したことを認めた。
一方、パリに本拠を置く「国境なき記者団」は、ヤフーの声明を歓迎の意を示したと同時に、「師濤氏、王小寧氏、またヤフーによる個人情報提供で入獄させられた人々の解放を中国当局に求める」よう、ヤフー側の責任者に呼びかけた。
同じく10年の刑を言い渡されたインターネット異見人士・王小寧氏の母親は、現在米国でヤフーが中国当局へ個人情報を提供した違法行為に対して提訴している。師濤氏の母親・高琴声さんは香港の記者会見で、中国政府が師氏の入獄を協力したヤフーを提訴し、ヤフーが懲罰を受けることを望んでいると心情を語った。これに対して、ヤフー側は今回の声明をも含めて、中国の法律を遵守しなければ、同社の従業員は民事ないし刑事の懲罰を受けること可能性が高いと主張し続けた。
ヤフーが提供した個人情報によって、中国当局は記者および異見人士を4人に対して刑を言い渡したことに対して、香港立法会の何俊仁議員は、それぞれの個人案件は集団訴訟案に纏めることを示唆した。
国際人権団体などもメディア関係の国際団体も一部の企業のやり方を非難した。アムネスティ・インターナショナルは、一部の国および企業はインターネット上における言論、集会の自由、プライバシー権利を尊重し、保護・促進していないことを指摘。その内、ヤフー、グーグルなどのネット企業は、中国などの人権侵害国家のためにネット上で言論の検閲を行っていると非難した。
世界新聞協会 (World Association of Newspapers、WAN)は6月4日、中国で拘禁されているジャーナリスト師涛氏に対して、2006年のゴールデン・ペン・オブ・フリーダム賞(Golden Pen of Freedom)の授賞式に、山西省から南アフリカ・ケープタウンまで飛び、師氏の代わりに出席した母親の高琴聲さんは、同賞は師氏にとって崇高な栄誉であり、大きな慰めとなるとし、勇敢な記者としてすべきことをしたから、世界同業者の同情と支持を得ることができた証であると語った。
ビデオ:ヤフー、中国当局による言論の自由侵害を非難