【大紀元日本6月27日】台湾在住の米国人権弁護協会アジア支部の執行長・朱婉_qi_弁護士は24日、香港空港で入国拒否され、台湾に強制帰還された。同弁護士は、香港政府が人権を無視していると強く非難している。米国VOAが報じた。
香港の主権移行10周年の節目を迎え、国際社会が中国当局の「一国二制度」の履行状況を注目する中、香港当局が24日、国際人権弁護士・朱婉_qi_氏の入国を拒否し、明確な理由がないまま、彼女を台湾に強制送還した。
朱婉_qi_弁護士は当時の状況を以下のように語った。
「私の周りに約7、8人の女性職員が集まった。そのほかには、男性もいた。彼らは乱暴をはたらく者を取り押さえる際に使う毛布を私の体に巻きつけた。私は、これは違法行為、私の代理弁護士はまだ来ていないと強く抗議したが無視された。香港の政府関係者は自ら私に弁護士の介入を承諾したのに、弁護士が現場に到着する前に、私を強制送還しようとした。6人の女性職員が私を担ぎ、6人の男性職員が車椅子に私を乗せ、搭乗口までに運んだ。その状況に、私は心の底から強い怒りと無念さを覚えた」。
朱婉_qi_弁護士は人権法律協会(本部=ワシントン)アジア支部執行長。法輪功学習者が起こした人権訴訟案件の弁護も引き受けている。同弁護士は、今回の香港訪問の目的は、その人権訴訟案件の準備と、香港帰還10周年の法律現状を観察するためと説明し、人権を厳重に侵害する香港当局の暴挙を体験したことに、強い遺憾の意を示した。
同弁護士によると、「私は法輪功学習者であるために、入国が拒否されたのでは」と再三、問い質したのに対し、香港当局の関係者は、同弁護士の入国は香港に不利益をもたらすと答えた。それに対し、同弁護士は、香港入りの目的は、7月1日の慶祝イベントを前に、関連の活動に参加するためと繰り返し説明したという。
香港民主党の幹事長は、彼女の入国問題について、税関関係者と交渉したが不調に終わり、「この問題は香港最高指導部の決定であるため、現場は取り下げることはできない」と同弁護士に説明したという。
それに対し、同弁護士は、「香港には自称『一国二制度』が実施されているが、事実上、完全に独裁下に置かれている、基本的な人権の保証が喪失され、台湾・香港の関係に著しく遺恨をのこした」と非難した。
同弁護士は、「香港当局には、少数の親中派が中共の圧力を恐れ、そのほかの政府関係者も中国共産党(中共)政権に従うよう強要した。しかも、やり方は非常に露骨で、誠に理不尽だ。今回の事件の全容からみれば、香港が完全に「一国一制度」になってしまった。初めに「一国二制度」を遵守していたときは、自由のある法律社会とも言えたが。今日において、香港当局は中共指導部の要求に屈し、合法的な入国ビザを所持し、しかも、法的訴訟を担当している弁護士を、如何なる事実証拠もないままで強制送還に至ったことに心を強く痛めている。台湾の国民に是非とも、この現実を明白に認識してほしい」と語った。
香港の「一国二制度」について、国際社会や中国国内、香港、マカオ、台湾などが、その動向に注目している。台湾大学新聞研究所や台湾新聞記者協会、香港メディアが6月23日に開いたシンポジウム「香港主権移行10周年を分析する」では、参加する学者やメディア関係者は、香港の報道の自由は後退していると実感し、中国当局が「国家機密漏洩罪」などの曖昧な罪で、ジャーナリストを逮捕・監禁しているため、香港のメディアは中国当局に嫌われる敏感な報道を自粛するようになったと指摘し、台湾と国際メディアは香港の報道の自由を持続するために支援と関心を強めるよう呼びかけた。