【大紀元日本7月1日】米国食品医薬品管理局(FDA)がこのほど、中国産水産物の輸入禁止を発表した。米国政府のこの決定により、国際社会の中国の食品安全問題への関心がさらに高まった。専門家は、「中国の食品とその他の製品の品質安全問題は、中国の関連経済産業と輸出産業に大打撃を与える可能性があるため、中国側が強い反応を示すだろう」と分析している。
食品安全問題を主管する米国政府機構FDAは、中国産養殖ナマズやうなぎ、エビなど水産物5品目の輸入を禁止し、輸入業者がこれらの水産物の化学物質と抗生物質などの含有量が米国の基準に合格したと証明できるまでに、輸入を再開しないと公表した。
FDAの発表によると、昨年10月から、中国産水産物5品目の89のサンプルを採取し、検査した結果、22のサンプルから抗生物質が検出され、全体の25%を占めた。これらの薬品は人体に有害な成分が含まれているため、米国では水産物の養殖には使用を禁止している。
反発する中国当局
駐米中国大使館は、FDAの輸入禁止措置にすぐに反応を示し、声明文を発表し、「中国政府は輸出食品の安全問題を非常に重要視している。輸出先の国と地域の意見や反応も重視している」と表し、米国側は輸入禁止の措置を取るにあたり、科学的な証拠を提出していないと反発した。
中国国家質量検査総局の李長江・局長は6月29日、米国側に対し、早急にこの問題を解決するように促した。同局長は、「中国は毎年米国から輸入した食品を検査した結果、同様に多くの不合格品を見つけている。中国から米国に輸入された製品と同じだ。中国の個別の企業から米国に輸出される水産物には確かに品質問題があるかもしれないが、区別せずに水産物5品目をすべて輸入禁止するのは、中国側として受け入れられない」と反論した。
米国VOAの報道は、「最近では、中国製品の安全問題が米国で強く注目されている。FDAが今回の水産物輸入禁止を発動する前に、中国製のペットフードや、歯磨き粉、玩具、化粧品、薬品、花火、爆竹などは危険製品のリストにアップされている。また、中国製のタイヤも死亡事故を起こし、安全上欠陥が見つかり、米国市場で販売された45万本についてリコールが命じられた」と報じた。
米国政府のシンクタンク、米国企業研究所の中国貿易問題の専門家クロード・バフェルド氏は、FDAが取った行動は、最近の一連の問題で激化した米中貿易関係の摩擦をさらに激化させると述べ、「これは確かに完全に関わる問題である。米政府は輸入された問題の中国産水産物を押収しなかったが、米国で使用禁止の薬物が発見された。私が知る限り、FDAは過去においてよく特定の外国企業にこのような制裁を下したが、今回のように、特定の国の、特定の製品にこのような調査を行ったのは極めて稀だ」と話した。
氷山の一角か
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は情報筋の話を引用し、「中国は昨年302万トンの海産物を輸出した。その16%は米国に流れた。いま、米国は日本と韓国に続いて、中国にとって第3位の水産物輸出先である。その輸出増加のスピードは極めて速く、潜在能力の最も高い市場である」と報じた。
また、同紙は、前述した米国企業研究所のバフェルド教授の見解をも報じた。同教授は「食品安全問題は中国製品において氷山の一角に過ぎず。その他の製品の安全品質問題もこれから徐々に露呈されていき、その他の国も米国に続いて、中国当局に圧力をかけるだろう…米国において、製品の安全問題は非常に敏感な問題である。米国政府は中国当局にこの問題を持ち上げるのは、如何なる国の製品であろうと、米国市場に入るには米国の基準に合格しなくてはならない。この問題において、中国はその他の米国の貿易パートナーと異なる基準を有してはならないというメッセージを発信するためだ。私が思うには、米国が中国製品の安全問題を見逃さないだけではなく、恐らく欧州や、日本などの他の国々も近いうちに同様の行動を取るだろう」と述べている。
また、ニューヨーク・タイムズ紙は、最近の中国製品の安全問題に関する消費者の手紙を大量に公開し、米国各社会層の消費者が中国輸入品の安全品質問題を非難していると報じた。あるニューヨーク在住の読者は手紙の中で、「中国の生産と輸出の原動力は金への貪欲さであり、誠実さと信用度が著しく欠けているため、議会は関連の法律を制定し、輸入業者に対し、中国製品の包装紙に、特別な警告シールを貼ることを義務付けるべきだ」と提案した。
米国議会の民主党トビン議員はこのほど、議会で最新の食品衛生管理法案が通過した際に、「『MADE IN CHINA』の表示は、米国では危険な標識と化している。これは非常に残念なことだ』と述べた。
中国商会の会長クレ・ヒクソン氏は長年、米中貿易に力を注ぎ続けてきた。同会長が米国VOAの取材に応じ、「いま、米中貿易は多事多難な時期に瀕している。貿易保護主義による行き過ぎの影響もあるが、中国側も確かに反省すべき点がある」と語った。