【大紀元日本7月2日】最近、ワシントンを訪問した中国外交部の戴秉国・副外相が、ブッシュ政権の関係者と会談を行ったと米紙で報じられた。また、匿名の情報筋によると、6月19日、戴秉国・副外相が次期米国大統領選挙候補者の外交政策の幕僚らとも極秘会談した。その真意は、米国の外交政策の方向性を探り、対応策を講じるためという。ワシントン・ポスト紙の6月28日付報道で明らかになった。
ブッシュ大統領の元アジア政策顧問マイケル・グリーン氏は、「中国当局は米国国内政治に影響する要因を探り出そうと図っている。米国大統領の更迭は外交政策に影響をもたらすからだ」と評論した。
米中関係の専門家、作家のジェームス・マン(James Mann)氏は、もっと率直に指摘した。「中国当局は、大統領選候補者らの対中国政策を把握しようと急いでいる。目的は積極的な対応策を早めに講じること」という。
長年来、中国当局は米国の大統領選挙に強い関心を持ち続けてきた。1996年、当時の続投するクリントン大統領に直接資金援助を提供するほどの熱心ぶりだった。この資金は名義上、米国系華人の実業家・鐘育翰氏による政治献金であるが、実際の出所は当時の中国当局のナンバー2である劉華清氏の娘・劉超英氏である。後にこの政治献金案が発覚、鐘育翰氏には執行猶予付きの有罪判決が下された。2004年の大統領選挙の際に、公表された書類や、写真、取材記録などにより、当時の民主党の候補者選びで優勢だったジョン・ケリー(John Kerry)氏も、1996年に中国の諜報機関と兵器業者に関連する米選挙収賄案に関与していたのが判明。
今回、戴秉国・副外相と米大統領選挙候補者の幕僚との極秘会談を斡旋したのは、クリントン政権の国防副長官ジョン・J.ハムレ氏といわれている。カーター政権の国家安全保障顧問だったブレジンスキー氏も会談に参加したという。これらの兆しから、中国当局の米民主党への根強い影響力が伺える。
ワシントン・ポスト紙によると、ジョン・J.ハムレ元国防副長官は、本件へのコメントを拒否しているという。情報筋によると、今回の極秘会談は両国関係の幾つかの敏感話題に触れたという。戴秉国・副外相はまず、台湾問題への米政府の関与をけん制。人民元の為替問題について、直接に触れず、両国の経済協力を拡大させ、双方に利益をもたらす局面を作り上げるべきと提案したという。
民主党の候補者選挙について、ニューメキシコ州のリチャードソン州長は声明文を発表し、「中国当局がスーダンに圧力をかけ、ダルフールでのイスラム教民兵組織による黒人への虐殺を止めなければ、北京オリンピックをボイコットする運動に参加」と示した。
その問題について、戴秉国・副外相は、「中国はダルフール問題の解決に興味がある」と述べ、北京オリンピックは問題解決のカードに使われるべきではないと話し、フランス大統領選挙で、ダルフール問題について中国に強い姿勢を示した社会党のロワイヤル候補が落選したことを挙げ、今回の米大統領選挙の候補者をけん制した。国際社会からは、「中国当局が、ダルフール紛争を解決する国際社会の動きを妨げるものは、同国での巨大な石油利権」と非難の声が続発している。
情報筋によれば、戴秉国・副外相と極秘会談したのは、民主党の上院議員バイデン(Biden)氏、クリントン(Clinton)氏、オバマ(Obama)氏、元民主党上院議員のエドワーズ(Edwards)氏、共和党のマッケイン(McCain)氏、ロムニー(Romney)氏の外交政策顧問などで、ニューヨークの元ジュリアーニ市長も招待されたが、参加しなかったという。