【大紀元日本7月10日】米マイクロチップ・テクノロジー社は、上海海尓集成電路有限公司(Haierグループの子会社)が著作権を侵害したとして、中国の裁判所に提訴した。専門家は、「中国当局が著作権の侵害と海賊版行為を放任しているため、この問題は引き続き中国で長期的に存在するはず。同様な訴訟案件を多く出せば、中国のこの問題の改善を促せるのではないか」との見解を示した。
米国VOAによると、米マイクロチップ・テクノロジー社(本社、アリゾナ州)は、上海の第一中級人民法院に訴訟を出した。同社のPIC16CXXXマイクロコントローラの関連技術を許可無く複製したとして、上海海尓集成電路有限公司(下略、上海Haier社)を提訴した。米中両国はともにベルン条約(注:文学的及び美術的著作物の保護に関する条約、著作権に関する基本条約)の加盟国であるため、マイクロチップ・テクノロジ社が著作権を有するデーター資料などは両国で皆、著作権保護の対象となる。
同社はマイクロコントローラと模擬半導体の製造において、世界の先端に立っている。一方、上海Haier社は中国でICの製造をリードしている。
マイクロチップ・テクノロジ社の法律事務部の責任者デービット・イェスキ氏は米国VOAの取材に応じ、「上海Haier社よる著作権侵害の行為を把握したのは数ヶ月前。すでに強力な証拠を掴んでいる」と話し、中国の裁判所は、自社が提出した証拠を調査し、正しい判決を下すのを願っているとコメントした。
また、イェスキ氏は、「我々が望んでいるのは、まず、著作権侵害の行為の停止、あるいは、我が社の著作権を侵害する製品の生産中止。その次、すでに製造された著作権侵害の製品を処理すること。賠償について、いまは、損害額を試算している段階であり、後にその金額を決める」と話した。
イェスキ氏によると、提訴する前に、上海Haier社と交渉しなかった。現時点までに、相手も本件への反応を示していない。
米国カリフォルニア大学オーウェン校商学部のノワール教授は、マイクロチップ・テクノロジ社がこの知的財産権侵害案件を起こしたことに、理解を示し、「中国はいま、偽造商品と知的財産権侵害の世界の中心となっている。欧州と米国に流れた偽造品の大多数は、中国で製造されている。知的財産権侵害も、中国の重要問題である。この違法行為はさまざまな製品に蔓延している」と説明した。
『まもなくやってくる中国の戦争』の著者ノワール教授は、「マイクロチップ・テクノロジ社がこの案件に勝訴できるかどうか、非常に予測しにくい。中国では、以前同様な案件を起こした外国企業が勝訴したり、敗訴したりと様々なケースがあった。中国の裁判所も国際社会の圧力の中、知的財産権への侵害を取り締まる意欲をある程度示しているが、このような違法行為は、中国当局が放任している」と見解を示した。
同教授は、「中国での偽造製品と著作権侵害行為は、当局の容認を得ているのは、疑う余地もない。その理由は非常に簡単である。現時点までに、このやり方は多大な経済利益をもたらした。物価が低い水準に保った上、大勢の中国人はこれで働き口を得ている。当局は時々公開取締りを行うが、一般的な状況においては、当局はその莫大な経済利益のために、見て見ぬふりをしている」と指摘している。
また、ノワール教授は、「中国の国内総生産(GDP)の20%から30%は、著作権侵害などによるものとの試算がある。もし、この数字は事実であれば、非常に驚くべき事態だ」と述べ、この問題は中国で短期的に解決されるはずはないとし、同様な訴訟を数多く経て、著作権侵害の事案が徐々に減少していくのではないかとの見方を示した。