【大紀元日本7月11日】香港記者協会(HKJA)は、香港返還後10年間における言論自由に関する報告をこのほど発表し、香港における報道の自由は徐々に萎縮しており、自己規制が厳しくなる一方であると示した。BBCが伝えた。
報告の中で、香港記者協会は2007年1月に行った調査結果を引用し、取材を受けた58%の報道関係者は、自己規制および政府側による報道管制によって、香港は返還後の報道の自由は徐々に萎縮していることを示した。
国境なき記者団が行った世界各国の報道自由度ランキングの中で、香港は2002年の18位から2006年の58位まで下がった。また、米国際NGO団体「フリーダム・ハウス」が発表された「世界各国報道自由度調査報告」では、自由国家および地区の中に、香港の報道自由度は66位にランキングされている。
香港記者協会の今年の調査によると、調査を受けた報道関係者の30%は、報道時に自己規制を行ったという。また、40%の報道関係者は同僚が報道するときに、自己規制を行ったことを知っているという。
報告では、中国および香港政府が報道に対して、異なる政治圧力を掛けているとし、例えば、北京当局は香港メディアに対して、「台湾独立」を主張する人物への取材は控えるべきだと圧力を掛ける。
一方、個別の報道関係者は暴力の恐喝を受けたり、香港「ネクスト・メディア・リミテッド(Next Media Ltd)」のようなメディア団体が中国への取材を禁止されたり、香港記者・程翔氏が監禁されたりしたことがすべて香港の報道自由に影響を与えていると指摘した。
*依然として行われている取材規制
報告では、北京政府は直接に言論自由に影響を与える動きはしないが、その代わりに、異なる情報を流している。例えば、強硬手段による香港記者・程翔氏を監禁しながら、2008年北京五輪における取材制限を緩和することで、香港の報道関係者に各自で解釈させ、本意は捉えにくくしていると指摘した。
報告は、中国にいる外国記者会の資料を引用し、中国当局は2008年北京五輪の取材新規定を発表したにも関わらず、多くの報道関係者の取材は依然として阻害されていると強調した。例えば、人権弁護士・鄭恩寵氏および高智晟氏の取材はいまだに出来ない。また、一部の記者は取材するときに、地元当局に「五輪と関係ない」を理由に取材が阻止され、チベットで取材していた記者が当局に警告されたことなどがある。
中国当局は今、異なる方法にて記者たちに一部の取材先と連絡が取れないようにしている。例えば、中国民間でエイズ予防を推進している高耀潔・医師が、米国で受賞され帰国後、電話が遮られた。また、民間エイズ予防活動家の胡佳氏も帰国後は、外部との接触が出来なくなったという。
一部の記者は人民大会、政協両大会の開催時に、反体制派活動家への取材ができないと指摘した。彼らは全員強制的に北京を離れるようにされたからだ。
*六四事件、香港低調対応
報告の一部は、香港浸会大学メディア関係の学者・杜耀明氏が執筆した。杜氏は、香港の親北京政党の民建聯・馬力党首が「六四天安門事件には虐殺がなかった」を発表したときに、現場にいた11社の報道機関の記者がいたが、6社だけが彼の発言に言及したとし、その内の2社はなお低調な論調で処理したと指摘した。杜氏はこのような対応では、自己規制と言わざるを得ないと指摘した。
報告で、北京中央政府は7人の香港メディア団体経営者を全国政協委員に任命したことが、香港のメディアが敏感とされるテーマ、例えば、六四天安門事件、香港返還10周年の七一抗議パレードなどを公正に報道することに影響を与えていると強調した。
報告では、曾蔭權(ドナルド・ツァン)現香港行政長官は、董建華・前行政長官よりメディアを上手に利用しており、独占ニュースの提供で、個別の報道機関が政府情報をよく報道するように巧みに操ることを知っていると示した。