【大紀元日本7月14日】「長江の腎臓」と称される湖南省洞庭湖は中国の典型的な湿地で、長江全体の生態系維持の中でも重要な働きをしている。しかし、近年湖の周囲にある製紙工場やその他の工業が急速に発展したため、湖は掃溜めのようになってしまった。湖南省当局は昨年以来湖畔にある200件以上の製紙工場を整理し、最も汚染レベルが高い第5類から第3類にまで水質を改善した。しかしながら相変わらず他の工場から出される廃水が湖を汚染し続けており、当局による徹底的な改善作業もむなしく未だ湖水は真っ白な状態だという。
香港紙「明報」によると、当地住民は政府による製紙工場整理の効果を認めてはいるものの、まだまだ力不足であると感じており、さらに閉鎖となった大部分の工場が再開するのではないかという不安と、その他の汚染源となっている企業を処罰しない事に対する不満も抱いているという。
湖畔にある岳陽洞庭魚都の劉さんは鮮魚の卸売業を営んでいる。彼は「湖水はきれいになってきている。政府の努力がないとは言わないが力不足だ。もっと処理範囲を拡大し、その他の汚染源である企業も罰し湖水を完全に浄化すべきだ」と話す。彼の話では漁場の数十メートル上流にある岳陽同連葯業からの製薬廃水が湖に対し大きな汚染を造りだすため、他の土地から買付けて来た魚を放流しても2日で薬臭くなり死んでしまう。周囲の買付業者は当然買い付けには来ずに広州や他の都市に行ってしまう。漁業経営者と製薬工場は法廷で争っているが、数年経った今も改善は見られないという。
事情に詳しい人物によれば工場の排水口や排水管は水位より低いために水没し、黄色く濁り異臭を放つ汚水が湖面に泡を吹き出し、排水口の周囲の湖面は長期間の汚染のためにすでにクリーム色になっている。また悪臭のためにこの場所に十数分居ただけでも胸が苦しくなり、めまいがするほどだ。
付近のすでに干上がってしまっている内湖の底には数センチの厚みで真っ黒な泥灰が堆積しており、数台のショベルカーがこの泥灰を積んで行くという。この運転手が言うにはこれはすべて泥灰で、売れば金になるという。また窒素肥料工場の廃水も湖を汚染しており、その刺激臭は鼻を覆うほどであるという。
岸には緑の水藻が積み重なり、岸近くの湖面には浮草も幾重にも重なりながら漂っている。漁民の話ではこれらの藻類は先日の大雨で上流から流れてきたものだという。洞庭湖はこれら繁殖力の非常に強い藻類に毎年悩まされており、もしこれを抑えられなければ太湖のアオコの二の舞になるだろうという。