【大紀元日本7月15日】北京の評論家はこのほど、「中国当局が非共産党員を中央指導部に編入した動きで、これから多くの民間人が各地方政権の行政部門の幹部職に就く可能性があり、第17回全人代を前に、中国の政界の新しい風となる」と語った。また、海外の専門家は、中国当局のこの姿勢を評価すべきだが、真の民主政治にはまだ遠いとみている。
中国当局は今年4月、致公党の万鋼・副幹事長を科学技術部の部長に任命したのに続き、6月には、無党派の陳竺氏を衛生部部長に任命した。
香港紙「文匯報」は北京市在住の匿名専門家の話を引用し、上記の両氏に続いて、これからは、もっと多くの非共産党員が各地政府の行政幹部、例えば、県長や、市長、省長などの高級幹部の職に就く可能性を示唆、「中共政権の人事制度は変化し始め、第17回全人代を前に、中国政治体制に新しい風を吹き込んだ」と報じた。
海外の一部の評論家は、中国当局のこの動きを評価するとともに、「中国の政治は、真の民主政治にはまだまだほど遠い」と指摘している。
米国電子雑誌「観察」の陳奎徳・責任編集者は、「個人的には、この姿勢を評価すべきものと認識している。この動きは、おそらく1949年以降、1950年代に提唱していたいわゆる『連合政府』。これは中国共産党が当時、国民に交わした約束だ。しかし、まだまだほど遠い」と見解を示した。
中国共産党が政権を確立した初期、内部では数人の民主党派の関係者が部長、国家副主席などに選ばれていた。後の反右派運動と文化大革命で、彼らは全員解任された。
また、陳奎徳・責任編集者は、「政府の公職は共産党の私有財産ではないため、共産党が自ら任命するのではなく、国民に選ばせるべきである」と指摘、「いま、中国共産党から、すこしでも政治権利を分けてもらえと、人々は、感謝感激で胸がいっぱいになるが。肝心の問題は、共産党はどうしてこのような権利をあるのか、この権利は一党が独占すべきものなのか。このような考え方には、論理上の問題がある」と述べた。
「文匯報」は評論家の情報を引用し、「党外の人物が中央指導部の部門長に就任するのは、行政機構の権力構造に一定の変化をもたらした。中共の『党委集体決策制』を微調整することになった・・・人事の任免問題に関して、非共産党員の部門長は、ワンランク下の共産党幹部と同等の権力を有する。その判断は、上級部門の最終許可が必要である」と伝えた。
それに対し、米国VOAは、海外の一部の評論家は、懐疑的な見方を示していると指摘し、米国の政治評論家ゴウシン氏の見解を引用し、「中国当局が一党専制を堅持する状況において、重大な決定を下す際に、(陳竺と万鋼両氏のような)非共産党員は意見を求められる程度の地位しかない。決定権を有する立場ではない」と報じた。
また、政治評論家は、「今回、中国当局が党外の人間を中央部門長職に任命したのは、国内外の情勢に迫られた結果」「特に2008年北京五輪を前の国際社会へのアピールだ」などの見解を示し、中国当局に対し、政治改革の分野で、真の民主社会に邁進するよう促した。