【大紀元日本7月22日】米国の環境保護団体「フォーレスト・トレンズ」(本部・ワシントン)がこのほど発表した報告書によると、「中国で近年、廃棄紙の再生産業が迅速に発展したことから、世界各地での森林伐採を緩和させ、米国と欧州の国々に巨大な廃棄紙の輸出市場を提供した」とされ、中国での廃棄紙のリサイクル産業の発展を評価したが、一方で、同報告書は、「中国の紙リサイクル産業の発展は、木材への需要を抑えたが、その他の分野において、木材の需要が日増しに増加しているため、中国によるアジアとアフリカの部分地区での森林の伐採に拍車をかけている」とも指摘した。
同団体の研究報告によれば、現在、中国でダンボール紙などの製造に使われる合成繊維の6割は廃棄紙。過去十年間、中国が輸入した廃棄紙の量は5倍以上増加し、340万トン(1996年)から2200万トン(2006年)になった。2002年から2006年の間の増加率は特に大きい。
中国の紙製造企業である玖龍・紙業の創始者・張茵氏は、廃棄紙の再生で富を成し、中国の富豪ランキングにランクインした。張氏の企業は米国から廃棄紙を輸入し、包装紙などに再生している。
同環境保護団体のこの報告書の主要作成者ブライアン・スタッフォード氏は、「中国は世界最大の廃棄紙購入国であり、過去4年間、米国や日本、欧州などから合わせて7200万トンの廃棄紙を輸入した。昨年一年間に再生した紙製品は、計6万トンの木材の使用を節約できた」と説明した。
また、スタッフォード氏は、「中国は、高品質の紙の製造において、依然として森林の伐採に頼っているため、中国の紙製造に使われる4割の木材と紙パルプは、インドネシア、ロシアなど森林管理が不備とされる国からである」と指摘した。
同時に、多くの環境保護団体は、中国がアフリカとアジアの国から違法伐採の木材を輸入、フローリングと家具の製造に使っていると非難を強めている。
今年4月、国際的な環境保護団体(NGO)グリーンピース内部も、中国による森林伐採に意見が分かれている。同団体の中国森林運動の協調者スダック氏は、前述の「森林の成行き」の調査報告での中国への評価に同調すると表し、「中国の企業は、廃棄紙の回収とリサイクルに、喜ばしい創業精神を見せた」と語った。
中国とアフリカ諸国間の問題に詳しいローナ・ハーン博士(NPO法人「The Association on Third World Affairs」)は、中国は昔から倹約の美徳があるため、リサイクル産業分野でもっと実績を構築できるとし、「中国人の多くは回収製品を利用する習慣があるため、リサイクル産業はもっと成功するはずだ」と期待を寄せた。
中国での廃棄紙リサイクル産業が持続的に発展させるために、フォーレスト・トレンズは、「中国の紙製造業は監督体制を構築し、木材の供給業者の仕入れルートなどを追跡できるようにし、木材の出所の合法化を強化すべきである」と提案した。