【大紀元日本8月26日】中国南部の広東省深圳市で最近黒い雨が降った。現地の「南方週末」紙が報道した。
同紙の報道によると、黒い雨が降ったのは深圳市南山区、8月14日午後10時ごろ、集合住宅街を中心に、約2平方キロメートルの範囲で、約1時間半続いたという。
当日、パイクでパトロールしていた警察官は、「墨のように黒くて、油が混じっていた。雨に汚れた手で不意に目を触れたとき、痛みを感じた。皮膚も焼けどのような軽い刺激痛があった」と話した。
また、住民の証言では、白い自家用車が黒雨で斑点がついてしまい、洗い落とした後、ペンキも剥がれたという。
翌早朝、空気中に異臭が漂っていた。街頭で新聞・雑誌を売っている人によると、「町中、動物の死骸のような異臭が充満していた」という。
報道は、現地の研究者の検査結果を引用し、黒い雨から大量の硫化物を検出と報じた。
黒雨が降った住宅街の南西側には、南山・熱電工場が隣接している。黒雨が最も集中した団地「碧榕湾小区」は、同工場からわずか数百メートルしか離れていない。
同工場のチーフエンジニアは、「工場では、重油と石炭を燃焼するので、粉塵が発生し、ボイラーの側面に付着する。そのため2、3日に1度、夜間に粉塵の除去作業を行う」と説明し、重油を燃焼する限り、このような粉塵汚染は避けられないと話した。
周辺の住民、特に老人と子供は呼吸の不調などの健康被害を訴え、環境保護局に「一刻も早く、このガン(工場のこと)を取り除いて欲しい」と求めている。「団地『港湾小区』では、2千人あまりの住民中、22人のがん患者がいる。通常の発病率を遥かに超えている」という。
類似の黒雨は中国において初めてではない。1990年3月には、上海市に隣接する江蘇省農村部の靖江、儀征などの地区で、1994年は四川省重慶市で、2005年6月26日午前には重慶市の九龍発電所の操業ミスにより、周辺の黄桷坪地区で、黒雨の発生が確認された。
世界銀行が発表した報告書は、「全世界で環境汚染が最も深刻である20の都市のうち、中国は16を占めている」と書き記している。中国当局の環境保護総局のトップは最近、「中国の環境汚染は、危険の臨界点に達している」と発言した。