【大紀元日本8月27日】監禁中の中国盲人人権活動家・陳光誠氏の代表者として、フィリピンへ出国し、人権賞を受賞しようとしたその妻、袁偉静さんが、北京の空港で出国手続きの際に、警察に強制連行された。出国を阻まれた直後、人権活動家の胡佳氏が、袁さんから電話連絡を受けたが、詳細は不明で、その後の行方も分かっていない。
中国当局が強制中絶などの不当な手段で人口を抑制していると告発していた中国の盲人人権活動家・陳光誠氏は去年8月24日、財物損壊罪と、交通秩序撹乱罪(かくらん)で懲役4年3月の判決を処せられ、いまは服役中。ちなみに、同氏は去年5月、米国の「タイム」誌に「世界を影響する100人」に選ばれた。今年7月、同氏には、「アジアのノーベル賞」と呼ばれるマグサイサイ賞が授与された。この賞は、フィリピン大統領ラモン・マグサイサイを記念して創設された賞であり、毎年アジア地域で社会貢献などに傑出した功績を果たした個人や団体に対し、マニラ市のラモン・マグサイサイ賞財団により贈られる。
陳光誠氏の家族は刑務所で面会する際に、受賞されたことを彼に伝えた。陳光誠さんは刑務所側にフィリピンでの受賞式に参加したいと要求したが、前例がないと拒否された。そのため、8月31日の受賞式に、妻の袁さんが代表として出席する運びになった。
袁さんの友人、中国人権運動の支援者・曾金燕さんはBBC中国語ネットの取材を応じ、袁さんが強制連行されるまでの経緯を、以下のように明らかにした。
袁さんは8月24日、マニラに出国するため北京の首都空港で出国手続きを行う際に、公安警察に止められ、パスポートと携帯電話などを強制押収され、連行された。
当時、袁さんはすでに搭乗手続きを完了、出国検査を受けていた、警察が彼女のパスポートは失効したと称し、彼女を強制連行した。初めは、曾さんとまだ連絡を取れたが、後に袁さんの携帯が通じなくなり、最後の通話の際に、彼女の携帯電話が奪われたような衝撃音がした。航空会社は、彼女の荷物はすでに警察に持っていかれたと説明。空港の警察署は、袁さんを勾留していないとしている。しかし、彼女の所在がわからなくなった。
袁さんのパスポートの有効期限は2008年3月、しかも、彼女はフィリピンの入国ビザーを取得した。出国前日の8月23日深夜、中国当局の幹部が彼女に電話をし、パスポートの回収を通告した。
また、北京首都空港に向かう直前、北京市の曾さんの自宅に滞在していた袁さんを取材しようと、6人の外国メディア記者が駆けつけたが、見張りの公安警察に一時的に拘留され、理由は、記者の身元を確認するためだという。
現時点までに、袁さんは依然行方不明、警察もいかなるコメントを出していない。友人と支援者らは、「出国できないのは概ね予測していたが、最も心配しているのは、彼女がこれきり失踪してしまうこと」と不安を隠しきれなかった。
米VOAによると、人権活動家の胡氏が、最後に袁さんから短い電話を受け取った。短いやりとりだが、胡氏はこの会話を録音した。
袁さん:「わたしは拘束されました。持ち物はすべて押収されてしまいました」。
胡氏:「今、どこにいるのですか」。
袁さん:「トイレの中にいることしか、わからない」。
胡氏:「あなたを山東省に送還しようとしているのでしょうか」。
この後、袁さんから返答はなく、結局行方は突き止めることはできなかった。