【大紀元日本8月29日】中国訪問中のドイツのメルケル首相は8月28日、滞在先のホテルで中国のメディア関係者や、学者など4人と会談した。参加者の1人李大同氏によると、メルケル首相には、中国メディアが直面する問題と社会対立を説明した。同首相は公開演説で、中国当局に対し、人権を尊重するよう促した。
メルケル首相と会談した4人は、「中国青年報」の週刊誌「氷点」の李大同・元編集長、同紙の撮影記者・賀延光氏、中国青年政治学院新聞学部の展江・主任、「捜狐ネット」の「チャンネル」の趙牧・責任編集者。会談は約1時間。
会談後、李大同氏はメディアの取材に応じ、8月25日に、駐中国ドイツ大使館から参加要請を受けたと明し、「メルケル首相には、中国メディアのここ30年間の発展と変化や、中国でのインターネット発展による社会への影響、中国社会の問題と対立などを紹介した」と語り、詳しい内容については説明を避けた。
また、同氏は、「氷点事件(注)にも触れたが、主要議題ではなかった。会談は終始和やかな雰囲気で行われ、メルケル首相が中国の状況を一層把握するには非常に役立ったのでは」と述べ、中国の報道自由を促進するには、やはり中国の各界、特に報道関係者の努力が中心であるとの見解を示した。
もう1人の参加者、中国青年政治学院新聞学部の展江・主任は、メディア関連法律の制定を推進すべきであると言及したという。同氏は、「中国でのメディア関連法律の立法を願っている。メディアの享有すべき権利、記者の有すべき権利を定め、一定の保護を提供するほか、メディアによる社会へのマイナス影響も制限すべきである。この作業はもっと早く進める必要がある。現状では、周知の通り、制約する法律がない」と説明した。
訪問中、メルケル首相が中国社会科学院で講演を行った際に、中国当局が民衆により多くの発言権を与えるべきであると述べ、これらの権利には信教の自由、出版と言論の自由なども含まれると強調した。
同首相が去年5月の中国訪問の際に、ドイツ大使館で、国内出版禁止の「中国農民調査」の著者と会談するなど、農民問題に関心を示した。
(注)氷点事件:1994年に創刊した「氷点」誌は、歯に衣着せぬの報道姿勢が、中国の知識層に歓迎されていた。去年1月に、中央宣伝部から一時強制閉鎖を命じられ、一ヶ月後に復刊したが、編集長・李大同、副編集長・盧躍剛が懲戒免職された。