【大紀元日本9月25日】今年の4月から9月にかけて、中国広東省中部の東莞市で400人近くの出稼ぎ労働者が自殺し、当地の自殺者総数の7割近くを占めた。専門家によると、出稼ぎ労働者らは故郷を離れて生計を立てようとしているが、低収入の圧力の大きさから、一時の落胆から立ち直れず、絶望して自殺を図るに到っているという。
東莞市街地はかつては赤土が広がる貧しい農村だったが、改革開放後は、広州や香港、深圳に近いことから、衣料からパソコンまで各種工場が林立し、中国最大の製紙工場もある。こうした背景から、出稼ぎ労働者など、省外からの流入人口が多い。「信息時報」によると、各鎮・区における新東莞人(外来者)と当地住民の比率は全て6:1以上で、ある鎮に到っては、10:1となっている。このような膨大なグループの中で、自殺の問題が頻繁に発生している。
関係部門の統計によると、今年4月から9月10日にかけて、東莞において400人近くの新東莞人が自殺し、当地の自殺者の7割近くを占めた。月平均の自殺者の人数は、100人になる。
出稼ぎ労働者と交流のある周氏によると、主要な原因は3つあり、「一つが低収入の圧力が大きいことである。新東莞人は、初任給が低く、圧力が大きく、かつ収入の低い職に就いており、長期的に、現実と理想のギャップを感じており、一時の落胆から立ち直れず、自殺を図るに到っている。二つ目が気持ちの上での挫折である。新東莞人の主体は20歳~30歳の青年であるが、挫折に直面した時に平静を取り戻すことができず、また、誰にも自分の気持ちを聞いてもらえず、容易に自殺の途を選ぶことになる。三つ目が、うつ病などの心理的問題である。新東莞人の大部分は工場で働いているが、閉鎖された環境においては、容易に心理上の問題が発生する。うつ病は、最もよくみられるケースである」と言う。
また、ある心理学者の分析によると、新東莞人は、長期に渡って異なる地で生活しており、周囲との人間関係が仕事上、利益上のものであり、感情面での支えが深刻なまでに欠乏しているという。また、東莞は、競争が熾烈で、金銭に対する意識が非常に強い都市である。こうした環境において、新東莞人は、基本的に支えのない状態に置かれ、心理が脆弱化し、これに伴って生命までもが脆弱になっているという。