【大紀元日本10月4日】ミャンマー軍事政権が僧侶と民衆による反政府デモを武力弾圧した問題について、欧米諸国は、同政権に最も影響力を持つ中国当局が圧力をかけ、弾圧を停止させることに期待を寄せている。一方、中国当局はミャンマーと密接な経済関係があるため、軍事政権に本格的な圧力をかけるのは不可能との見方もある。
エネルギー不足に悩む中国にとって、ミャンマーは便利かつ確実な供給源であり、一方、欧米諸国から長期的な経済制裁を受けているミャンマー軍事政権にとっては、中国は最も重要な貿易パートナーである。ミャンマーだけでなく、スーダン、北朝鮮など国際社会から孤立している国々は、中国当局と密接な関係を持っていることから、今回の武力弾圧問題の解決には、中国当局の積極的な対応が国際社会から期待されている。
報道によると、国際社会が中国当局に対し、ミャンマーへ圧力をかけることを期待する一方、中国国内の評論家らはそれに悲観的な見方を示している。作家の趙達功氏は、このような期待と要求は空想であると述べ、「1989年に自国民を弾圧した(中国共産党)独裁政権が、その弟分に銃を捨てるよう説得することが可能であろうか。おそらく、弟分は『兄貴なら、どうするのか。同じことに直面したら、銃を発砲しないのか』と聞き返すだろう」と指摘した。
今回の武力弾圧で、国連安保理は同政権に対する制裁発動を模索したが、中国は「今の状況で制裁は有効な手段ではない」(王光亜国連大使)との見解を譲らなかったため、声明はフランスのリペール国連大使が読み上げる非公式なものにとどまった。
中国当局が公表した統計によると、2006年度両国の貿易高は14.6億ドルに達し、前年度比20・7%増となっている。また、今年7月までに、中国からの輸出は前年比50%増となっている。
ドイツの最大日刊紙FAZ(Frankfurter Allgemeine Zeitung)は、中国当局は長年、ミャンマーから宝石や木材などの資源を輸入しており、同軍事政権の崩壊は中国にとって損失であると報じた。ドイツの公共放送局ドイチェ・ベレ(Deutsche Welle)は、ミャンマーの北部地域は中国の一つの省に化しており、現地では中国製品と中国人が溢れているなど、両国の密接な関係を報じた。米VOAは、「ミャンマー軍事政権が存続するには、中国当局の支持が重要不可欠。中国当局も経済利益のために、軍事政権の安定を望んでいる」と分析、中国当局が弾圧阻止に向けて影響力を行使するかどうかには懐疑的な見方を示している。
中国とミャンマーは1950年に国交を締結し、中国当局は多額の無利息・低利息借款を提供してきた。また、中国はミャンマーの国家建設プロジェクトにも参加。同国の多くの道路と橋の建設に、中国企業が深く関わっている。
非政府組織「アースライツ・インターナショナル(EarthRights International)」が最近公表した報告書によると、過去10年間において、ミャンマーでは中国企業26社以上が62項目に及ぶ大型建設プロジェクトに参加しているという。その中には、中国雲南省とミャンマー南西部のインド洋海域を結ぶ石油・天然ガスの運送パイプラインが含まれている。