【大紀元日本10月20日】デンマーク・チームのコーチやスポーツ界の代表など五輪代表団がこのほど北京を訪れたが、見学場所の多くは当局に厳重に封鎖され、内部の見学はできなかったことがわかった。また、不測の事態が発生した際の機動性や迅速さなどについて、多くの懸念があることが明らかにされた。デンマーク最大手日刊紙「ユランズ・ポステン(Jyllands-Posten)」が10月16日、「デンマークスポーツ界代表者ら、北京五輪に質疑」の記事で報じた。
2008年北京五輪準備委員会はデンマーク代表団に対して、北京当局は労力や物資の大量投入によって、五輪関係の建設はすべて掌握していると説明したが、デンマーク代表団は今回の北京訪問で、来年の五輪について不安と懸念が生じた。デンマーク代表団が北京の五輪開催地を訪問したときに、すべての場所は厳重に封鎖されていたため、代表団はある施設から500メートルも離れたところから施設を見学したという。
来年の北京五輪では、302の試合および1万6千人の選手と関係者、そして、7万人のボランティアと4億人の観衆が予定されているが、開催期間中に起きた問題に対し、臨機応変な機動性や、決定権とその迅速な対応などの点から鑑みると、中国が対処できるには程遠い現状であるとの見解を、デンマーク代表団は今回の北京訪問で示した。
デンマークオリンピック準備委員会および体育協会は、五輪参加各国に対し、北京五輪に参加する試合項目主管および国家級コーチが中国北京を見学し、北京におけるオリンピック村および試合施設を含み、さまざまな条件などを認識する必要があると呼びかけている。デンマーク五輪関係者らは、多くの施設は問題点が多いと判断した。
デンマークオリンピック準備委員会主管のマイケル・アンダーソン氏は、各国代表団が詳細な下見ができないとなると、具体的状況の把握ができず不安が生じ、来年の開催への期待感が削がれると指摘した。
アンダーソン氏は、「中国がかかえる多くの問題の1つは、誰も決定権を持っていないことだ。いくつもの部門を通し、上層部にたどり着いてからようやく決定が下りる。このやり方では、我五輪開催期間中に、不測の事態が発生すると、非常に大きい問題に発展してしまうことは明らかだ」と訴えた。
デンマーク陸上協会会長のラース・ニルソン氏は、「最悪のことに、我々は北京に到着した最初の日から最後の日までの訪問スケジュールの通知はなかったのだ。わたしは試合に関する会議に参加したが、私と面談した者はアシスタントだったが、マラソンと競走項目について、まったく分かっていなかった」と指摘した。
ニルソン氏はさらに、「アシスタントが持っていた五輪に関する小冊子のコピーもらおうとしたが、拒否された。すべてが進まなくなった。このようなことで、北京五輪はどうなるのか。問題を指摘しても、誰もそれを気に掛けないし、話も聞いてくれないと想像できるのだ。通常は、これほど大きなプロジェクトなら小冊子程度で間に合うはずがない。融通性が必要だ。何故なら、現実は往々にして計画とは異なってくるからだ。しかし、北京においては、すべてがこう着状態になるので、物事は進行しないのだ」と懸念した。