【大紀元日本10月30日】チベット亡命政府指導者のダライ・ラマ14世は6回目のカナダ訪問で、ハーパー首相と公式の会談や宗教講演などの活動を行い、3日間にわたる訪問のために10月28日にカナダ入りし、オタワ市ラリ・オベレン市長およびジョン・ベード環境省長官が出迎えた。ダライ・ラマは現地時間29日午後2時にハーパー首相と会見した。これに対して、中国政府は強く反発した。一方、カナダの民衆は約9割が首相とダライ・ラマの会見に賛成している。
ダライ・ラマは今回の訪問でもっとも注目されたのが、ハーパー首相との会談だ。カナダの首相が政府を代表して公式にダライ・ラマと会談することは、カナダ史上今回が初めて。ダライ・ラマ14世は2004年にカナダを訪問したときに、当時のポール・マーチンカナダ首相と非公式の会談を行った。ダライ・ラマはハーパー首相との会談後、カナダの総督や野党指導者らとの会談も予定されている。
ハーパー首相は昨年より執政して以来、チベット問題に対する強い態度を示し、今回も中共の反対を押し切り、ダライ・ラマと公式会見を行ったことから、保守党政権は貿易より人権を重視する一貫的立場を強く示した。実際、カナダ議会は昨年にダライ・ラマに対して、世界平和および人道主義を宣揚における貢献を称え、カナダ栄誉公民の称号を授与した。
*中国側の反発、国際的イメージを崩す
カナダ首相とダライ・ラマの会見に、中国政府が猛反発した。すでに9月27日「ナショナル・ポスト」紙の報道で、カナダ外務省マックシム・バーニア長官は、豪州で開かれたAPECで中国外交部長からの「クレーム」を受けたという。これを受けて、駐中国のルシュミン・カナダ大使はハーパー首相に対して、ダライ・ラマとの会談を改め、チベット問題の対応に慎重にすべきだと呼びかけた。
一方、オタワのカルトン大学政治学部教授のカワリアオ氏は、「ダライ・ラマの今回の訪問および11月中に行われる日本への訪問は、中国の国際的イメージに対してマイナスの影響はないため、中国からの抗議は建設的でなく、意味はない」と分析した。
*大多数のカナダ民衆、首相とダライ・ラマの会見に賛成
民意調査会社SESは、今年7月28日~8月4日まで、18歳以上のカナダ人1001人を対象に行った調査結果によると、ハーパー首相はダライ・ラマと面会すべきだと示したカナダ人が87%で、反対意見が僅か7%だという。これに対して、SES社ニック・ナノス主席は、人権および自由を大切にするのがカナダ人の伝統であるとし、調査の結果には驚かないと示した。調査対象の69%が「中国との貿易関係に潜在的影響が存在するかしまいかにかかわらず、カナダは中国政府に対して、チベットの人権および自由問題を提起すべきだ」と示した。
カナダ議会「チベットの友委員会」副主席のナセン氏は、ダライ・ラマを尊重することは国際的に認められた平和民主的価値観を尊重することに等しいと強調した。ナセン氏は、「ダライ・ラマは平和で非暴力的原則を遂行しており、普く尊重される人士だ」と称えた。