【大紀元日本11月19日】クラーク・ラント駐中米国大使は15日、母校のエール大学法学部で「中国の法制および駐中国米国公館法制顧問の役割の重要性」と題する講演を行った。
ラント大使は、自身の体験から中国司法の現状を説明し、特に陳情者問題や、法輪功への集団迫害、高智晟・人権弁護士などに関心を持ち、中国当局に頻繁に抗議したことを明らかにし、このような迫害を容認する当局の指導者と深い信頼関係を構築するのは不可能であり、「真の友にはなれない」と話した。米国の対中国政策の2つのキーポイント①地域の安定を維持、核の拡散阻止②人権と思想・信条の自由の促進を明らかにした。
ラント大使は、中国の法制発展を促すのは、米中両国の利益に繋がると指摘し、米国側はこれまでに多方面において努力していることを明らかに、実例として、中国の民間の民主、人権、労働者団体への資金援助などを挙げた。
中国の司法について、同大使は制度的な問題が存在すると指摘、問題点として、司法権が独立していないこと、裁判官の任命権は地方政府にあること、司法機構が裁判官の実績を評価することなどを挙げた。
中国当局の関係者の口癖「法律に基づいて国家を治める」との文言について、同大使は、これは法律を守ることの意味ではなく、法律を利用して民衆を制御することを意味する。その対象には、そのような発言をする本人と中国共産党員は含まれていない、と指摘し、中国当局は党員の法律違反に別なルールを定め、党員は刑事告訴の対象にならないことなどを説明した。
全国各地の人々が北京の最高指導部に押し寄せ、陳情を試みることについて、中国当局が彼らの問題を解決する誠意は明らかになく、ただ彼らを居住地に強制送還させるだけだと同大使は説明し、「多くの陳情者が米国大使館の前で抗議と嘆願を試み、私の助けを要請するが、しかし、私のできることは非常に限られている。そのことに、私は深い悲しみを感じる」と述べた。
法輪功への集団迫害や、迫害の違法性を訴える弁護士らが当局の弾圧を受けていることについて、同大使は、高智晟・人権弁護士が受けた迫害の実例を挙げ、同氏のために、中国外交部に幾度も抗議したことを明らかにした。また、米国大使館が中国での人権や思想・信条の自由を促進するため、多くの努力を費やしたと説明し、中国問題を主管する米国の国務長官補佐が中国当局関係者との会談で、頻繁に法輪功問題を提起したと強調した。その都度、「我々はよく知らない、調査する」と当局関係者が繰り返すが、毎回その回答がないと明らかにした。
同大使は、「残念ながら、私は多くの兵士を指揮できる将軍ではない。中国の高官に対し、このような人権迫害は両国関係の更なる発展を妨げると私は繰り返して表明してきた。なぜなら迫害を容認する指導者と深い信頼関係を構築するのは不可能で、真の友にはなれないから」と述べた。
また、今回の講演会で、同大使は知的財産権の保護や、台湾と中国の両岸関係問題、人民元の為替問題および米国の中国における長期利益などについて、見解を示した。