【大紀元日本11月28日】中国甘粛省渭源県を水源とする渭河の幹流は、全長800キロ余りにわたり、流域内には、陝西省の人口の64%、耕地の56%が集中している。また、渭河は、当地の汚水・廃水の唯一の排出ルートとなっている。報道によると、陝西省人民代表大会常務委員会は、渭河は既に生態機能を喪失しており、黄河流域で汚染が最も深刻な河流の一つであるとしている。
広東省の「南方都市報」は、中国の水危機についてシリーズ報道を行っており、青蔵高原の水源地の荒廃ぶりに続き、渭河河流の渭南市の水不足・水質汚染が驚愕の域に達していることを報じた。
報道によると、多くの都市と同様、渭南市の住民の収入は毎月1000元前後であるが、彼らの多くは水道水を飲まず、「泉眼」と名付けられた当地の市販飲料水を購入している。
渭南は、歴史上の文化が栄え、龍山文化の跡地であり、春秋時代の古長城の残垣から隋・唐時代の帝王の陵墓が存在する。また、司馬遷、詩人白居易、楊貴妃、名将郭子儀、名相寇准の故郷でもあった。しかし、今日の渭河は、自らが育んだ文明によって、最後の一点の生命力を消耗されようとしている。
報道によると、陝西省を通過する黄河や渭河の水質は既に劣質となっている が、これらの水は、沿岸の灌漑農業、特に、渭南市の中心や都市北部の渭河南岸では、水中のアンモニア窒素、亜硝酸塩窒素、硫酸塩、マンガン、フッ素、鉄などが規準を超過しており、既に飲むことができなくなっている。人体が過量の鉄を摂取した場合、鉄中毒となるほか、マンガンの毒性は鉄よりも高い。
このほか、懸念すべきこととして、井戸水の水質についても、この2年間で問題が発生している。市水務局水資源弁公室の責任者によると、井戸を掘削する会社に対し、50メートルより上の地下水を封鎖、飲用に供してはならない旨を通知したという。しかし、渭河流域の村では、村民や安い掘削業者がこの通知を知らず、30、40メートルの井戸が多用されているという。
村の水を汲み上げて太陽に晒すと、すぐに黄色くなり、一晩置くと、水面に動物性の油脂と見られる薄い蝋質が浮かび上がった。また、水を汲んだ桶の内壁には、泥のような泡沫上の沈殿物が堆積していた。