【大紀元日本3月19日】14日に発生したチベットのラサ市での市民による抗議デモで、中国当局は殺傷力のある武器を使用したことを完全否認し、チベット民族の指導者ダライ・ラマが裏で糸を引いていると批判している。一方、ダライ・ラマは、中国当局がチベット文化を抹殺しようとしているなどと非難している。
3月17日に中国外交部が駐北京の各国メディアを集め、緊急の記者会見を開いた。劉建超・報道官はその席で、中国人民解放軍は抗議デモの弾圧に一切加わっておらず、ただ事件後現場に駆けつけ、残局の整理などを手助けしただけ、と述べた。
同報道官は、「私は再度強調する。中国政府の関係者は関連の事件を対応する過程において、いかなる殺傷性武器をも所持しておらず、これらのものを一切使用しなかった」と発言した。
米国VOAの報道では、抗議デモの現場を目撃した人々からの情報として、銃声が聞こえたとの証言が多数寄せられたと報じた。これらの目撃者には、米国人などの外国人が含まれており、すでに駐北京の米国大使館にこの情報を提供したという。
また、中国当局が公表した死亡者人数は10人から13人になった。中国メディアは、これらの死者は、抗議デモの参加者が殺害した無実の人々である、と報じている。
国外のチベットの関連団体は、「死者の数は中国当局の公表より遥かに多い、そのほとんどは、中国当局の武力弾圧で殺された」と主張している。
前述の中国外交部の劉建超・報道官は、中国当局の立場を再度強調し、インドにあるチベット亡命政府の最高指導者ダライ・ラマが今回の抗議デモを計画したなどと非難している。
同報道官は、「ダライ・ラマが率いるグループが今回の暴力事件を介入、計画、組織したと証明できる証拠を持っている。今後、必要があれば、関連の証拠を公表する」と主張した。
一方、ダライ・ラマと縁戚関係にある周美里氏(台湾在住)は大紀元の取材に応じ、抗議デモが発生した理由について、「最近では、中国当局はチベットの各寺でいわゆる『愛国教育』を強化し、僧侶らの宗教活動をさらに制限している。長期間にわたり続いてきたため、僧侶たちはガマンの限界にきたのではないか」と分析した。また、現状について、「現在、三大寺院で中国軍が駐留している。各寺院には数千人の僧侶がいる…中国共産党が彼らをどう扱っているのか、私たちはまったく知らない。知るルートもない。非常に心配している」「ラサ市は封鎖され、武装警察が各家を順番で捜索しているようだ」と話した。
一方、ダライ・ラマはインドの自宅で米国VOAの取材に応じ、中国当局がチベット社会を調和できないことに、自分はスケープゴートにされたと反論、「まず、チベットで、どのような状況下において抗議デモが発生したのか、導火線はなんであろうか、私を含む外部の要因が今回の事件を誘発したかどうかを含めて、(国際社会による)事件への全面的な調査が重要不可欠」と述べた。
今回の取材で、ダライ・ラマは今回の抗議デモを非難せず、参加者にもいかなる直接のメッセージを伝えなかったが、平和を求める抗議デモを依然支持するとの意向を示した。
ダライ・ラマは、「非暴力の原則を遵守すれば、私は完全に抗議デモを支持する。もし、チベット人が暴力を使用していたとすれば、私はこの種の抗議デモは賛成しない」と述べた。
米国VOAは、「ここ数年、ダライ・ラマのこの非暴力方式がチベットの若者に疑問視され始めている。これらの若い世代は中国当局によるチベットでの統治にますます絶望している」と分析した。
一方、北京市民は今回のチベットでの抗議事件に関して、極力コメントを避けている。米国VOAの取材に、1人の男性は、今回のことを知っているが、見解を発したくないと答えた。もう1人の女性は、中国当局がチベット問題を円満に解決できると確信する、と答えた。1人のチベット族の女性は中国当局によるダライ・ラマへの非難について、以下のように答えた。「私は詳細を知らないが、(中国当局がそう主張しているが)私にはダライ・ラマが関与したとは思えない。私は信じない。私は知らない。暴動が発生したとは聞いたが、彼らを理解できる。彼らと共に行動するつもりもないが、外部の言い分を安易に信じることもない」。
中国当局は今回のデモ参加者に対し、18日午前零時までに、自首するか、厳罰を受けるか、決めるよう通告した。