【大紀元日本4月11日】その元凶によって、今日も罪なき多くの人命が損なわれていることに胸が詰まる。
そこへ皮肉めいたタイトルをつけるのはやや不謹慎かもしれないが、あまりにも厚顔無恥な相手に対しては、多少「毒」を盛った題名の評論をぶつけることも致し方なし、と読者諸氏にはご容赦いただきたい。
大紀元社説『九評共産党』によれば、中国共産党の悪魔的本質は「嘘と暴力」に象徴されるという。
全くその通りである。しかし、それを知っていても、中共当局が次々に出してくる桁外れの「ウソ」には唖然とさせられてしまう。
とりわけ映像というものが、どうにでも操作できるということを今回つくづく思わされた。
今日は4月8日である。日本の朝のテレビ各局は、北京「せい火」リレーが欧州各地で「妨害」を受けていることを伝えていた。
この「妨害」という用語が適切かどうかはひとまず置くとしよう。その原因についての日本のコメンティターの発言はといえば、「妨害されるのは必然だ」という本質に近いものも少しはあったが、大部分は表面的な現象への平凡なコメントに留まっていて、なんとも隔靴掻痒の感を免れない。
さて、中共そのものに話を戻す。言うまでもないが、中共の支配する中国には報道の自由がない。従って、この「せい火」リレー「妨害」のニュースは中国国内ではもちろん伝えられていないだろう、と思ったら実は「伝えられている」らしいのである。
そのCCTV(中国中央電視台)の画像が、日本の朝のニュースのなかに10秒ほど映った。私が見たのはテレビ朝日の報道番組だったが、ロンドンで激しい「妨害」にあっている場面であった。
ところが、その画像の下にでていた中国語字幕を見て、思わず椅子からころげ落ちそうになった。その字幕とは以下の通りである。(原文ママ。翻訳は引用者)
「奥運火炬伝遞受到『蔵独』分子厳重干擾。倫敦民衆譴責『蔵独』分子的破壊行為」
(オリンピックのトーチリレーは『チベット独立』分子による重大な妨害を受けた。ロンドンの民衆は、この『チベット独立』分子による破壊行為を非難している)
はてさて、その「ロンドンの民衆」とは一体誰のことだろう。
おそらく、(と推測して間違いないはずだが)昨日放送されたというこの中国官製のニュースには、「このような卑劣な妨害は絶対に許されない!」などと激しく吠えるロンドンの「市民」のインタビュー映像が貼り付けられて、中国国内へ向けて洪水のように流されているのではないか。
褒めるつもりなど毛頭ないが、中共のお家芸である「やらせ」映像は、なかなか「完成度」の高い金メダル級である。
私も後で知ったが、先日のチベット武力鎮圧のときも「やらせ」があったという。
中共当局の警官が「チベット人」に扮装して破壊行為を煽動していた事実が、目撃者の直接証言と証拠写真によって暴露された。
中共当局が後に、その偽チベット人を写真上から消したことによって、逆に「やらせ」の存在が証明されたことになる。
さかのぼれば89年の六四天安門事件においても、「学生」や「市民」に扮装した工作員が武器を渡すなどして「暴動」を煽っていたことが次第に明らかになってきている。
もちろん、何がなんでも武力鎮圧の名目を作ってしまおうという、中共のおぞましい「やらせ」である。
2005年の「官製」反日デモにおける「やらせ」の存在は、言わずと知れたことである。ただ、このときは当初のシナリオを超えて民衆が過激化してしまい、あやうく批判の矛
先が中共自身に向けられそうになった。読みを誤った中共当局は、さぞや肝を冷やしたであろう。
いま、北京五輪の「せい火」はロンドンからパリへ渡り、大勢のパリ市民が親指を下に向けてブーイングをするという「熱烈歓迎」を受けているそうだ。
それにしても、警官3000人が警備にあたるオリンピック聖火など、もはや「聖火」でないことは明白ではないか。
オリンピックと政治を完全に分離することは、実際の問題として容易なことではない。ただ、ベルリン五輪やモスクワ五輪などの「独裁五輪」は論外としても、それ以外の、
特に近年の夏季・冬季のオリンピックは、ともかく無難に、またそれなりに感動的なスポーツの祭典として続けられてきたと言えるだろう。
今回の北京五輪のように、「世界中の人々から歓迎されないオリンピック」というのは、すでに始まる前から異常事態なのである。当然、IOCが緊急ストップをかけるべきなのだが、それができない「しがらみ」があるのだろう。
政治との関係だけでオリンピックを捉えれば、それぞれの立場で主張があろう。
しかし、いま厳しく問われているのは、政治よりもはるかに普遍的な「人権」という価値観において、北京五輪すなわち「中国共産党五輪」が本当に正当であるか否かということなのである。「中国国内の人権状況を改善する」という、2001年の五輪開催地決定当時の公約を反故にしたことが明らかであれば、なおさらであろう。
人権なくして北京五輪なし
この崇高な理念を高く掲げて、いまCIPFG(法輪功迫害真相調査連盟)とその支援者たちが、世界各国において「人権聖火リレー」と「100万人署名運動」を推進している。
過激な言動は一切なく、あくまでも平和的に、ただ真実のみを剣としてたたかう勇気ある世界市民運動である。
これは単層的な五輪ボイコット運動ではない。
中国共産党が人権迫害を停止しない限りこちらも絶対にギブアップしないという、まさしく鋼鉄の鞭のように強靭で、しかも太陽の光のように明るい、初めから勝利を確信した運動なのである。
今日も日本のテレビの画面には、真偽おりまぜて刺激的な映像が映し出されている。チベット問題ばかりが報道されるアンバランスは、早急に是正される必要があるだろう。
中国共産党による非道は、もちろんチベット弾圧ばかりではない。
ビルマ軍事政権への援助、ダルフール虐殺への関与、人権活動家・胡佳氏への「国家転覆罪」不当判決、そして今もつづく法輪功学習者への凄惨なジェノサイト(大虐殺)。
挙げればきりがないが、いずれにせよ中国共産党による人権迫害は、単に中国人に対してだけではなく、日本人を含む全人類に対する大罪なのである。
だからこそ、先に述べた「人権聖火リレー」や「100万人署名運動」への支持は、今まさに燎原の火の勢いで全世界に広がっている。
日本のメディア各局各紙においても、そのような大局的な見地からの報道をぜひともお願いしたいと思う。ところが残念なことに、北米や欧州各国では広く認知されている「人権聖火」や「100万人署名運動」が、なぜか日本ではほとんど知られていないのである。
中共による金メダル級の「ウソ」の数々も、まもなく「人権聖火」の光明によってその邪悪な正体を暴露されることになろう。
「100万人署名運動」に寄せられた魂の署名一つ一つが、中共の暴力を停止させるために、これから爆発的な力を発揮するだろう。
日本のメディア各位に重ねて希望したい。
あなたが報道者としての善なる使命感をお持ちであるならば、いわゆる「暴動」や「妨害」の場面ばかり伝えるのではなく、静かに動きつつある地下水脈を鋭敏に感知して、全人類のために清らかな泉を掘り出してほしい。
この日本においても、その水脈は確実に動いている。
6月には「人権聖火」が日本に来て、東京・名古屋・大阪・広島・福岡の各都市で聖火リレーがおこなわれる。その準備のために、手弁当で奮闘するスタッフがいる。
連日、街頭に立って署名を呼びかけるボランティアがいる。
そして、その呼びかけに熱く応えて署名をし、スタッフの手を強く握りしめてくれる日本人がたくさんいるのである。
「ウソ」は所詮ウソでしかない。もちろん、北京五輪そのものが巨大な「ウソ」であることは、言わずもがなのことであろう。
「人権聖火」がまもなく日本に来る。
これこそが本物の「聖なる火」である。