東京護国寺に響く、在留チベット人らの祈り

2008/05/09 更新: 2008/05/09

【大紀元日本5月9日】東京都内文京区大塚の護国寺、既に夜も更けた午後7時半を回った頃になると、境内の太子堂には続々と在留チベット人やその支援者らが集まり、チベット動乱でなくなった人の霊を追善供養する祈りの会が催された。祈りの前には、本尊の仏前に灯明が点され、広い境内の中は静まり返っている。都心の割りには大通りの喧騒に煩わされない不思議な空間だ。

在留チベット人らは、祈りの前に必ずチベット密教の「五体投地」の礼拝を行い、訪れた日本の仏閣に祀られている仏前の本尊に敬意を払うのが彼らのならわしだ。この礼拝の形式は、先の長野五輪トーチリレーが行われた27日の善光寺での追善供養でも仏前で行われ、その謙虚な姿勢が日本の仏教関係者や支援者らの心をとらえている。

祈りの会では、最初にチベット語で仏典が読まれ、次いで護国寺の関係者らの指導で日本語の般若心経が読み上げられる。夜の静寂の中で読まれる経文の調べは、朗々と天空に響いて訪れる人の気持ちを何か異空間にトリップさせるようだ。8日夜の集まりでは、チベット人は勿論のこと、支援する特に若い日本人の真剣に祈る姿が印象的であった。

祈りに参加した在留チベット人のソムさん(29)は、「8日に五輪トーチがチベットの聖なる山・チョモランマに到達した…これは正直言って悲しいことであるし、チベットの動物であるパンダを五輪のシンボルマークにしたのはいかがなものか…チベットに踏みとどまっている人たちは、海外に流出した人たちよりもチベットを思う気持ちが篤く、必ず命がけで事態を打開してくれるに違いない…いつの日かダライラマ法王14世にラサに帰還していただくのが、チベット人総ての願いだ」と中共の五輪熱に戸惑いを隠せない。

護国寺は、2007年の11月に全日本仏教会(AJBA)が財団創立五十周年の記念事業の一環として開催したシンポジウム「第四十回全日本仏教徒会議神奈川大会(KBF)」にダライラマ14世を招待、来日した法王が当寺を参詣訪問したことがきっかけで在留チベット人らとの縁が生じた。

在留チベット人らを寛大に受け入れている護国寺の関係者は、「今日(8日)も胡総書記の乗った車が山門の前を二度通った。彼は、チベット弾圧で位を極めた人だと聞いているが…在留チベット人らといい、中国の胡総書記といい…これも縁と言えば縁なんでしょかねぇ」と世俗の不条理に複雑な心境で嘆息しきりだった。

祈りの途中で瞑目する日本人女性(撮影=5月8日夜、東京護国寺)

仏前に燈明を灯す在留チベット人(撮影=5月8日夜、東京護国寺)

祈りの経典に目を通す日本人支援者(撮影=5月8日夜、東京護国寺)

チベット語によるお祈りはこちらで聞くことができます。

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