中国1%の家庭に41%の富 国有企業幹部の所得は平均の128倍=世界銀行

2010/06/11 更新: 2010/06/11

【大紀元日本6月11日】世界銀行は先月、中国国内では1%の家庭が41.4%の富を所有しており、世界で最も貧富の格差が大きい国の1つであると発表した。この大きな格差は、市場経済のメカニズムと逆行する資源の計画配分や、権力への牽制の欠如などによるものだと専門家らが指摘する。

世界銀行が発表したデータによると、中国における富の集中は、米国の5%の人口に60%の富というデータよりもはるかに進んでいる。また、所得配分の不平等を測るジニ係数は昨年の時点で0.47に達しており、顕著な格差社会を示す警戒線の0.4を超えており、現在もその数値は上昇しているという。

中国国営新華社傘下の経済誌「財経国家週刊」が8日に掲載した北京大学・夏業良教授の記事によると、中国の都市住民1人あたりの所得は農村住民の3.3倍、業界間の賃金格差は15倍、上場国営企業の高層管理者の収入は一般従業員の18倍、社会平均収入の128倍にも達するという。

特に電力、電信、石油、金融、保険、エネルギー、たばこなどの国有企業従業員は全国労働者数の8%に過ぎないのに、収入は全国総額の55%を占めている。

「中国の金持ちは市場競争で成功を収めたのではなく、権力、略奪、独占によって富を築き上げたのだ」と同教授は指摘。中国の富は共産党や政府、国有企業などで働く特権階層へ集中しており、多くの社会問題はこの富の配分の不平等に由来するとしている。

市場経済のメカニズムと逆行する資源の計画配分

夏教授は米国VOAの取材に対し、市場経済は本来、労働者に自らの労働や智慧で富を築くチャンスを提供しなければならないのに、現在はその機能は働いておらず、経済の資源配分など、市場の調整メカニズムと逆行した形で計画配分されていると指摘した。

中国では市場経済化路線で国有企業改革が進んで来たが、08年の世界的な金融危機以降、景気刺激策として地方政府や国民企業への財政投入が急増してきた。

政府の計画的な資源配分は、市場メカニズムの働きを制限したと夏教授は指摘し、その結果、現在の中国の経済情勢は「国進民退」(国有企業が躍進、民間企業が後退)した様子を呈していると分析した。

このような制度の下で、権力を握る特権階層は手中の権利を用い、経済資源を略奪独占し、一般労働者の競争チャンスまでも略奪したと同教授は批判した。

「中国の金持ちは市場競争で成功を収めたのではなく、権力、略奪、独占によって富を築き上げたのだ」と指摘した。

権力への牽制が欠如した社会制度

中国の著名エコノミスト、北京大学経済観察研究中心代表の仲大軍氏はVOAに、中国の収入格差は権力への牽制が欠如した社会制度によるものだと指摘した。「権力への牽制が働かない社会では、権力者はほしいだけもらい、富の偏在、貧富の両極化は不可避なものとなる」と同氏は話した。

経済学者の郎咸平氏は、富と権力の結合による経済資源の略奪問題を解決するのが当面の重大課題だと指摘した。

北京師範大学の李実教授はメディアに対し、市場の調整機構を促進し、権力の運用を一定範囲内に制限することで、労働者全員に平等な競争チャンスを与えることができ、その結果として、富の配分の不平等、貧富の格差を緩和することができると話した。

(翻訳編集・張YH)
関連特集: