【大紀元日本6月12日】インターネット検索最大手、米グーグル社は9日、米国やEU各国に対して、中国政府が行っているネット検閲が政治問題だけではなく、貿易の障壁にもなっていると訴え、検閲解除に向けて圧力をかけるよう要請した。米VOA放送が報じた。
グーグル社の最高法務責任者(CLO)デービッド・ドラモンド氏はこの日、訪問先のブリュッセルで記者団に対し、「ネット検閲は人権問題であると同時に貿易障壁だ」と語った。
同氏は、中国のネット検閲は政治目的ではあるが、中国市場で多国籍企業を不利な立場に立たせるための手段にもなっていると指摘した。インターネットビジネスにおける新たな貿易ルールが必要だと強調した。
ドラモンド氏は、西側諸国は自由貿易を押し進めるように、情報の自由流通を積極的に推進するべきだと主張し、「検閲の拡大を食い止められる唯一の方法は政府間の協議である」と指摘した。同氏は米、仏、独の各国政府や欧州委員会に対し、中国と2国間や多国間の協議の中で、ネット検閲問題について是正を求めるように要請したことを明らかにし、前向きな反応が得られたと述べた。
グーグルは今年3月、中国のハッカーによるサイバー攻撃を受けたことから、中国政府から要請された検閲を中止。その後、中国政府との交渉も決裂し、グーグルは中国本土から撤退し、拠点を検閲のない香港に移した。
一方、中国政府は8日に「中国のインターネット状況」白書を発表したばかりだ。インターネットの「有効な管理」を強調し、実質上ネット検閲強化を示唆した内容となっている。
元北京大学経済学教授の商徳文氏は白書の背景について、「インターネットの発展で情報が溢れ、それが政治的力にもなりかねない。中国政府はそこに脅威を感じ、インターネットの管理を強化しようとしている」と分析した。
グーグルの牽制要請について、同教授は、グーグルの「ネット検閲は貿易障壁」という主張は大きな進歩であり、それに対する西側政府の動向が今後の鍵となると指摘した。