【大紀元日本6月15日】中国の産業構造を叩く電子部品生産工場「富士康」の従業員連続自殺事件。1ヶ月間で7件に上る、刃物で幼稚園や小学校の児童を大量殺傷した無差別事件。新華社系列の「瞭望週刊」誌が先月、中国疾病予防制御センターの精神衛生センターが2009年に発表したデータを引用して、中国の各種の精神疾病患者の総数は1億人を超えていると報道した。
それによると、最近頻発する精神病患者による連続殺人事件の背後には、深刻な社会問題が隠されている。患者数1億人、重度患者数1600万人以上の精神病問題は、すでに中国社会の安定を脅かすほどであるという。
「瞭望週刊」の報道は、専門家の分析を引用して、生活リズムのスピードアップ、価値観の混乱や喪失、貧富格差の両極化など社会の劇的な変動が、国民の精神的・心理的健康に支障を作り、大量の精神病患者を出した原因であるとしている。
「瞭望週刊」の報道を多くの中国国内メディアが転載して報道、読者の間で熱い議論が起きている。「信じられない」との声もある一方、実際には精神疾病患者数は公表された数字を上回る可能性があり、適切な措置を採るべきとの意見もある。
中国の新聞紙「南方都市」の報道によると、北京安定病院はかつて1984年から1996年までの13年間の1515人の刑事犯罪者を対象に調査を行った結果、1515人の中で、精神疾病を患った者は1248人で、82%を占めている。これらの精神病患者はおもに人身攻撃、財産略奪、社会秩序妨害を行い、全体の94.1%を占めている。
「中国の精神分裂症患者は総人口の1%、憂鬱病患者は7%、焦燥障害患者は5%を占めている。これだけでも1億人を超えている。もし、青少年たちの精神的疾病や高齢者たちの持病による心理的疾病などを加えれば、中国の精神病患者は、はるかに1億人を超えているはずである」と精神病専門家で中国華西医科大学教授・孫学礼氏は指摘している。
遺伝子の要因、生活スタイルや観念の変化、そして拡大する貧富の格差などが、中国の精神病患者数が1億人を超えることになった主な原因であるとし、政府は精神コンサルティングや心理指導を強め、治癒率を高める対策を取るべきだと同教授は呼びかける。
「一般的に貧しい国では、うつ病の発病率は高くないが、貧富の格差が大きく拡大されれば、貧困層のうつ病の発病率が高くなる。すなわち、格差問題もうつ病をもたらす重要な要因である」。同教授によると、現在中国ではうつ病の発病率が高く自殺率も高いので、もっとも重視されるべきであるという。
富士康の連続自殺の問題について、まずは企業内部の管理に原因を求め、その後個人の精神的な原因を調べるべきだとの意見を示す。孫氏によれば、生存の空間が狭くて安全性がないことが、連続自殺に至った重要な原因として挙げられる。