【大紀元日本6月18日】長期にわたって中国政府の人民元為替レートを抑えることに、この数カ月、米中間の議論でパンチを交わしてきたが、米国はもうこれ以上耐えられなくなったようだ。来週カナダで開かれるG20サミットを前に、米議会の議員らが人民元の切り上げに相次いで立ち上がった。
ICTSD(貿易と持続的発展国際センター)の公表によると、アメリカ上院で民主党ナンバー3の人物であるチャールズ・シュマー(Charles Schumer)氏は先週国会に法案を提出し、輸出補助を施された中国商品に懲罰関税を徴収することなど人民元切り上げに圧力をかけ、6月までに国会での投票を促した。シュマー氏が前に提出した中国商品に対する27.5%の関税徴収法案に比べると、世界貿易戦を起こす可能性は小さく、国会で否決される可能性が小さいと見られる。
我慢の限界に来ているのはシュマー議員だけではない。ファイナンシャルタイムズ(FT)16日の報道によると、アメリカ下院資金調達委員会の主席で、ミシガン州出身の民主党議員サンダー・レビン(Sander Levin)氏も、「来週行われるG20サミットまで北京が人民元為替問題に対して明確な答えを出さなければ、制裁法案を国会に提出する」と明言した。
「7年も待ち続けたアメリカと国際社会はすでに辛抱の限界だ」とレビン議員は話す。中国に人民元為替問題を解決させるために、オバマ政府はG20サミットを一つの重要な期限として建設的にセッティングしているという。「もし中国が無視したら、オバマ政府も迅速な反応を出さなければ、国会は行動を起こす」と明言。長期にわたって人民元為替レートが低すぎる問題に、レビン議員は絶えず非難してきたが、北京と慎重に協議し、過激な行動をとることを控えるべきであるというのが今までの主張だった。
先週、ガイトナー米財務長官も今までと違い、「北京はアメリカ国会議員の怒りに気がつくべきである」とニュアンスを変えた。
中国側は反撃した。国営新華社が先週、社説で、「これらの国会議員は自分たちを、アメリカ国民の利益を保護するホワイトナイトと自称しているが、実際のところ、有権者の歓心を買い、弁論を操ることを通して有権者を丸め込む政治家に過ぎない」と猛烈批判。
中国外務省の秦剛副報道局長は14日、「人民元問題を政治化し、レート問題を利用して中国に対して貿易保護主義的な行動を取るのは全く筋が通らないことで、人を害し自分も損する結果となる」と厳しい口調のコメントを出した。
サンダー・レビン議員が所属する委員会の公聴会で、ビジネス界の大物らは今週、「競争環境を自国の企業に有利させるために、中国政府はさまざまな政策を制定したり、あらゆる手段を使ったりしている。特に本土イノベーション政策である。当該政策は政府の支出を国内企業へ優先させ、しかも知的所有権を無視することを奨励している」と不満を表している。
一方、上述の強硬派と違い、米中貿易全国委員会(USCBC)の主席であるジョン・フリスビー(John Frisbie)氏は「各方面で根気よく遊説するのが最良の解決策だ」と強調している。