【大紀元日本7月3日】中国返還13周年を迎えた香港では7月1日、炎天下の中、数十の団体が「香港の前途は我々の手にある」をテーマにデモを行った。例年の直接選挙権要求のほか、民主党が中国政府に妥協して出した政治改革方案に反対する声や、法定最低賃金制度の導入などの要求が目立った。主催者の「民間人権陣線」によれば、参加者数は5万2千人で、昨年より少なかった。普通選挙を訴え続けてきた民主党への市民の失望が参加者数減につながったものと見られる。
一方、中国共産党設立日である同日、中国共産党関連組織からの離脱を訴える声も鮮明であった。
出発地点のヴィクトリア・パークの6箇所のサッカーグランドは参加者で埋め尽くされた。午後3時頃、第一陣が出発して、約2時間後に終点の香港政府ビル前に到着した。夜7時に参加者全員が終点にたどり着いた。
普通選挙権(市民による香港のトップと議員立候補者への直接選挙権)の隊列には、「二つの普通選挙」を求める参加者が目立った。香港のトップである特別行政長官と立法会(日本の衆参両院)の全議席を有権者の投票で決める普通選挙は、香港が中国に返還されて以来香港市民が求め続けている主要な政治要求であるが、いまだ実現していない。
一方、最近では、これまで普通選挙を訴え続けていた民主党が中国政府に妥協して別の政治改革方案を提出し、可決された。若いデモ参加者の多くは、民主党のこの案に反対する意向を示した。「民主党は中共の罠にはまり、香港人を裏切った」などの声を上げていた。
民主党の妥協に反対する若者。プラカードには「民主党が中共に妥協する政治方案を提出したのは、まんまと中国政府の罠にはまったということ。中国政府が利益を得るだけ」ということを意味する標語が書かれている (大紀元)
その民主党の関係者も例年通りパレードに参加したが、市民や方案反対者の罵声に埋もれていた。衝突を避けるために、大量の警官がその周りを囲み、警備に当たった。
香港立法会の元議員で医師の郭家麒氏は、「香港返還時に交わした『一国両制度』の約束は完全に破られている。(中略)香港市民もこのことに気づいた。つまり、中国政府は実質上、香港人を騙し続けているということだ。市民の民主への期待感がどんどん薄れている」などと話した。
夜になっても、数百人の参加者は依然香港政府ビル前に留まり、大声で普通選挙の実施などを訴え続け、香港のトップである曾蔭権・行政長官との対話を要求した。一部の若者は現場で座り込み抗議を行った。
また、香港に隣接する中国広東省深セン市からの参加者も多くいたもよう。ベテランジャーナリストの程翔氏は、「彼らが香港の地で、深セン市の市民の旗を掲げて、特権主義に反対し、中国政府の強権統治に反対することに、非常に重要な意義がある。すなわち、中国国民にとって香港は暴政に反対の意を示せる一つのプラットホームになった」と述べた。